2011 Fiscal Year Annual Research Report
視線誘導が自閉症スペクトラム児の表情認知に及ぼす効果の実験心理学的検討
Project/Area Number |
22730520
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
木村 あやの 昭和女子大学, 生活心理研究所, 助教 (00527575)
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 表情認知 / 視線 |
Research Abstract |
自閉症児は表情認知の成績が同年代の定型発達児と比べて低いことが知られている。これは、自閉症児が相手の顔を見る時に限局的な注視を行っており、とくに相手の目を注視しないことが一因と推測される。このことを踏まえ、(1)自閉症スペクトラム児(以下、ASD児)および同年代の児童の表情認知における注視部位の基礎データの収集、(2)「場の理解」のスキルを向上させる手がかりを得るため、人の表情を含んだ状況図に対する視線運動の解析、を実施した。使用した表情刺激は、日本大学顔情報データベースFIND(Facial Information Norm Database)に収録されている顔画像を平均化した画像のうち、日常生活上読み取れることが重要と思われ、かつ大学生による認知的評価データが高い一致率であった「喜び」「怒り」「悲しみ」を用いた。[(1)の結果]表情刺激提示前の注視点をランダム提示した場合でも、「喜び」「怒り」はいずれの群も100%、「悲しみ」はASD群が100%、定型発達群が70.8%と高い一致率であった。さらに、いずれの群も目への注視時間が、眉、鼻、口への注視時間よりも長かった。以上の結果から、ASDの有無に関わらず、小学生においても先行研究と同様、表情認知の際に瞬時に刺激の目へ視線が集まり、注視時間も長いことが明らかとなった。[(2)の結果]実験参加者の回答を、正しく状況図の主題の説明ができている群(把握群N=18)と、2者関係の説明はできているが主題の説明ができていない群(把握不十分群N=4)、状況の説明が主題からかけ離れている群(把握困難群N=5)の3群に分類した。状況図の主要な6領域を均等の大きさに設定し、それぞれの領域の注視時間について各群の差の検討を行ったところ、濡れ衣を着せられている子どもの顔への注視時間が、把握群は把握困難群よりも有意に長い結果となった。
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Research Products
(1 results)