2010 Fiscal Year Annual Research Report
多面的な思考を導くための効果的な教育プログラム開発の試み
Project/Area Number |
22730522
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小塩 真司 中部大学, 人文学部, 准教授 (60343654)
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Keywords | 二分法的思考 / 人格障害傾向 / 構造方程式モデリング / ポジティブ信奉傾向 / 思考態度 |
Research Abstract |
二分法的な思考傾向は,「白黒」「善悪」「全か無か」といった判断をしたいと考える傾向,また世界がそのような二者択一的な状況で成り立っていると信じる傾向,そして自分自身が直面する状況下で良し悪しを明確化したいという情報への渇望につながるものである。このような思考傾向は,単純化された認識を促すことから素早い物事の判断につながる一方で,精神病理的な傾向にも関連することが示唆される。 本研究の最終的な目的は,二分法的な思考態度への効果的な介入方策を開発することである。そのために,二分法的思考の中でも比較的精神的不健康に結びつきやすい側面を明らかにする必要がある。そこで,152名の大学生を対象として二分法的思考態度とパーソナリティ障害傾向に関する調査を行った。結果より,二分法的思考は多くのパーソナリティ傾向との間で正の有意な相関係数を示した。二分法的思考を下位尺度ごとに見た場合には,「二分法的信念」下位尺度がもっとも多くのパーソナリティ障害傾向に関連しており,「損得思考」はほとんど関連していなかった。このことは,二分法的思考の中には,パーソナリティ障害傾向に関連する側面とそうではない側面が存在することを示唆している。このような視点は,二分法的思考と不健康的側面との関連を考慮し,さらに思考態度に介入することを考える上でも重要であると考えられる。また,大学生303名を対象として,ポジティブな思考や感情をもつことを絶対的な善と考えるポジティブ信奉と二分法的思考との関連も検討した。全体として,二分法的思考は悪いことを思い浮かべると実際に悪い出来事が生じてしまうといったネガティブな因果関係を過信する傾向に関連していた。このような思考が,二分法的思考から精神的不健康への因果関係を媒介している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)