2011 Fiscal Year Annual Research Report
多面的な思考を導くための効果的な教育プログラム開発の試み
Project/Area Number |
22730522
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小塩 真司 中部大学, 人文学部, 准教授 (60343654)
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Keywords | 二分法的思考 / ステレオタイプ / 暗黙の知能観 / ボディ・イメージ / 国際比較 / 日本人 / ロシア人 |
Research Abstract |
二分法的な思考傾向は,「白黒」「善悪」「全か無か」といった判断をしたいと考える傾向,また世界がそのような二者択一的な状況で成り立っていると信じる傾向,そして自分自身が直面する状況下で良し悪しを明確化したいという情報への渇望につながるものである。このような思考傾向は,単純化された認識を促すことから素早い物事の判断につながる一方で,精神病理的な傾向にも関連することが示唆される。本研究の最終的な目的は,二分法的な思考態度への効果的な介入方策を開発することである。 平成23年度は,前年度に引き続き,二分法的思考の特徴を探るとともに,ディスカッション場面やグループ活動の中で予備的に二分法的思考を実施し,得点変化を検討した。 これまでに二分法的思考は,ステレオタイプ的な物事の判断に繋がる可能性があることが示されている。その背景には,二分法的思考が人間のもつ特性を生まれつきであると判断する傾向にかかわっているのではないかと考えられた。そこで,大学生217名を対象として,暗黙の知能感との関連を検討した。予想されたように,二分法的思考を行いやすいものは,人間の諸能力を「生まれつき」であると判断する傾向が見られた。また,二分法的思考が,自分自身の現実のボディ・イメージや理想とするボディ・イメージの歪みに関わる可能性が考えられた。さらに,その関連が日本人に特有であるのかどうかも検討した。そこで,日本人女子大学生419名,比較対象としてロシア人女子大学生187名に対して調査を行った。結果から,二分法的思考が理想とするボディ・イメージをより痩せる方向に認識させる傾向が両国ともに見出された。 また,ディベートやグループ活動の中での二分法的思考の変化について基礎的なデータ収集を行った。この結果については次年度以降に詳細な分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二分法的思考について,その特徴が他の変数との関連によって徐々に明らかにされており,授業内におけるデータ収集も順調に進展しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに行われた諸研究を概観し,二分法的思考の諸特徴をまとめる。同時に,本研究課題の最終的な目的である,二分法的思考の抑制につながる介入方策を探る。そのために,グループ活動やディベートを用いた授業中でとられたデータの分析を進め,最終的な介入案を明確化する。
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Research Products
(4 results)