2012 Fiscal Year Annual Research Report
多面的な思考を導くための効果的な教育プログラム開発の試み
Project/Area Number |
22730522
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (60343654)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 二分法的思考 / 思考態度 / 心理学的介入 |
Research Abstract |
ものごとを単純化して捉えようとすることは,人間の思考の本質的な特徴である。その最も極端な思考として二分法的思考に注目し,その特徴と変容の可能性を検討することが本研究の目的であった。 二分法的思考の特徴として明らかにされたことは,次のようなものであった。第1に,二分法的思考の強い者は,より複雑ではない単純なリズムやメロディをもつ音楽を好む傾向にあった。第2に,二分法的思考は極端なボディ・イメージを媒介することで,摂食障害傾向に結びつく可能性があること,さらにそのプロセスは,日本人女性とロシア人女性でほぼ同様のものであることが示された。第3に,二分法的思考のもち主は,様々な能力を変化しうるものだと捉えるのではなく生まれつきだと捉える,固定的な能力観をもつ傾向にあることが明らかにされた。第4に,二分法的思考は,各種のパーソナリティ障害傾向に結びつく可能性があることが明らかにされた。 また,二分法的思考の変容の可能性については,ディベートの授業を行う中で検討された。ディベートのトレーニングとディベートを利用した授業に参加した大学生71名を対象に,毎回の授業終了時に二分法的思考と活動の評価,満足度を調査した。二分法的思考の高さについては,授業による得点の変化は認められなかった。また,ディベートの活動がうまく行ったかどうかについても,二分法的思考との関連は見られなかった。その一方で,二分法的思考と満足度との有意な関連が見られた。因果関係の検討を行ったところ,授業の前盤では満足度が二分法的志向を高め,授業中盤から終盤にかけては,二分法的思考が満足度を高める傾向が観察された。これまでに,二分法的思考は自尊感情など肯定的な自己認識にほとんど関連しないことが示されている。本研究の結果は,ディベートという授業場面の中で,満足度と二分法的志向が相互に影響する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)