2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730525
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Research Institution | Nagasaki Junshin Catholic University |
Principal Investigator |
中村 真樹 長崎純心大学, 人文学部, 講師 (80531780)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 情動機能 / 発達支援 / 心理劇 |
Research Abstract |
1.研究の目的 広汎性発達障害とは、対人的相互反応の発達に重症で広汎な障害があり、言語的または非言語的なコミュニケーション能力の障害や常同的な行動・興味・活動の存在を伴うものである。本研究では、広汎性発達障害における非言語的コミュニケーションに注目し、情動表出を促進する支援について検討した。 2.調査協力機関及び調査協力者 F県児童デイサービスAセンターで療育活動(心理劇)に参加している広汎性発達障害児、F県知的障害者更生施設で療育活動に参加している広汎性発達障害者に調査協力を依頼した。 3.観察場面と観察場所 広汎性発達障害児については、心理劇場面を2台(固定・可動)のデジタルビデオカメラにて記録した。 4.結果と考察 今年度は、蓄積されたビデオ記録の中から広汎性発達障害児2名(A男、B子)を対象に広汎性発達障害における情動表出を促進する支援について時系列分析による予備的な検討を行った。対象児及びディレクターについて個別に行動カテゴリーを作成した。行動カテゴリーは、広汎性発達障害児について「表情」、「動作」、「発語」の3種類、ディレクターについて、「動作」、「発語」の2種類とした。対象児の表情と対象児における各カテゴリーの同時生起については、A男において「大きな身体の動き」とともに「ポジティブな表情」が観察された。さらに、B子において「ディレクターの言葉に相槌を打つ動作」や「ディレクターに向かって身を乗りだす動作」とともに「ポジティブな表情」が観察された。さらに、対象児の表情とディレクターにおける各行動カテゴリーの同時生起について、ディレクターによる「対象児の言葉の繰り返し」及び「身体接触による注意喚起」と広汎性発達障害児の「ポジティブな表情」が同時に観察された。以上の結果から、ディレクターの行動が広汎性発達障害児の情動表出を促進することが示され、心理劇が支援法として有効であることが示された。
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