2011 Fiscal Year Annual Research Report
アタッチメント安定性に対する養育者要因の影響プロセス:主観・行動・適切性の検討
Project/Area Number |
22730527
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
篠原 郁子 愛知淑徳大学, 心理学部, 講師 (30512446)
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Keywords | 発達心理学 / 親子関係 / 乳児期 / アタッチメント / mind-mindedness / 縦断研究 / 母子相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は,子どもの安定型アタッチメントを予測すると仮定される母親側の特徴を複数同時に測定し,それらの相互関連性と,アタッチメント予測力の比較を行うことである。 本年度は,母親の特徴測定として,生後6ヵ月時ならびに,追跡調査として18ヵ月時の調査を実施した。生後6ヵ月時の調査は目標サンプル数に近づけるため,昨年度から引き続き本年度も参加者を募集し,25組の母子データを得た。6ヵ月時の調査では,母親の認知的特徴として(1)「子どもの全般的表象」(インタビュー)(2)「乳児への心的帰属傾向」(mind-mindedness測定実験)(3)「乳児の内的状態の適切な読みとり」(インタビュー)を測定した。次に,母親の養育行動について母子自由遊び場面を観察し,(4)行動の適切さ(Sensitivity),(5)乳児の内的状態に関する発話量,(6)母子の調和(Emotional Availability)について,得点化を進めた。昨年度1回目の調査を終えた母子には,18ヵ月時点で2回目の調査を実施した。大学の実験室内において母子自由遊び場面の観察を行い,上記の(4)~(6)を測定した。 母親の特徴について,生後6ヵ月段階の分析の結果から,主に,(1)はほぼ全ての母親が子どもの性格的特徴を述べ,身体的特徴や生活リズムなどの語りが少なかった。仮定されたような,母親間における大きな個人差は認められなかった。一方,(2)には母親間で回答にばらつきが大きく,乳児が心的世界を持っていると考えやすい傾向には個人差の存在が示唆された。認知的特徴と行動特徴の関連について(2)は(5)と母親個人内で相関関係にあることが見出された。今後,これらの変数が,生後24ヵ月時のアタッチメント安定性を予測するのかを,縦断研究の実施により検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縦断デザインによる4年間の研究計画において,1,2年目に予定していた生後6ヵ月時,追跡調査としての生後18ヵ月時の調査を計画通りに実施している。このため,本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプルサイズについて,生後6ヵ月時段階での調査対象者を追加募集し,(研究期間内に第3次追跡調査が終了する範囲内で)継続的にデータを蓄積していく。調査実施は計画通りに進行しているが,得られたデータの得点化,分析に関して,特にインタビューの音声データの逐語録化に時間を要している。今後,専門業者に逐語録化を依頼するなどし,文字データに基づく分析,得点化の作業を速やかに進めることができるように,対応を行いたいと考える。同様に,ビデオ動画データの音声を文字化する作業に関しても,より作業効率を高めるための対応を行いたい。
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Research Products
(5 results)