2010 Fiscal Year Annual Research Report
予防的観点から捉えた肯定的自動思考の抑うつ低減・緩衝効果に関する基礎研究
Project/Area Number |
22730533
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
白石 智子 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (00453994)
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Keywords | 健康開発 / 抑うつ予防 |
Research Abstract |
抑うつへの有効性が実証されている認知療法の創始者Beck(1976)の理論で扱われる認知のひとつに自動思考がある。自動思考は,肯定-否定の二次元で捉えられており,ポジティブ-ネガティブな出来事を体験しているときにそれぞれ不随意的に生起する親和的な考えと定義される。両自動思考は一軸上の両極にある概念ではなく,抑うつに対してそれぞれ独自の影響を与えるとされているが,これまでの研究のほとんどは治療的観点から否定的自動思考について扱ったものであり,肯定的自動思考の特徴や機能に特化した研究は非常に少ない、そこで,本研究では,昨今治療と同様に重要視され始めている予防に重点をおき,肯定的自動思考の抑うつ予防機能について,実践への応用を見据えた基礎研究を行う。 肯定的自動思考が時間経過やその間の出来事との関係においてどのように変化し,どのように抑うつへ影響を与えていくのかについて,すなわち肯定的自動思考の長期的な変化の諸相を明らかにすることは,肯定的自動思考を抑うつ予防に活かす上での必須の資料となる。今年度は,そのための予備研究として,肯定的/否定的自動思考が生起する状況(出来事)にはどのようなものがあるかについて,大学生を対象に自由記述による調査を実施,得られた回答内容を分類整理した。今現在の大学生が日常的に経験するポジティブ/ネガティブな出来事について把握することで,本調査(縦断研究)にて肯定的自動思考とともに査定される出来事経験の指標を得た。
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