2011 Fiscal Year Annual Research Report
子どもと養育者の関係性における援助プログラムの開発と効果評定
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22730536
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
高橋 靖子 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (20467088)
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Keywords | 関係性の障害 / 子どもの養育 / 獲得された安定型 / 援助プログラム |
Research Abstract |
今年度の調査では、妊婦の内的ワーキングモデルについて従来の案定型と不安定型のカテゴリーだけでなく、安定型を獲得された安定型および継続した安定型に操作的に分類し、母親自身の抑うつ傾向や子どもへの感情との関連を縦断研究から明らかにした。 獲得安定型の特徴は、継続安定型と比べ過去の親との関係において不信感が強く依存感情を持ちにくいことである。また、従来指摘されるような抑うつの高さは見いだされなかったが、後期の抑うつ得点は上がる傾向がみられたため、出産後も追跡調査を行う。不安定型では継続安定型より、中期抑うつ得点が有意に高かった。また、獲得安定型の胎児への愛情については,継続安定型より有意に低く,子どもとの関係作りにおいて周囲が配慮する必要性が示された。 また、本研究で得られた知見を応用して、心理的課題を抱えた子どもと養育者のペアを対象に母子並行面接を行っている。母親面接では自己洞察を促すことを目的とし、子どものプレイセラピーでは遊びを通じて象徴的あるいは直接的に葛藤や欲求の表現を促す方法を取っている。さらに、治療効果を評価する技法として、養育者の内省自己機能尺度(Fonagy et al.,1996:成人アタッチメント面接によって測定されるメタ認知能力の指標)を参考に逐語記録の評定を行っている。 これらの子どもと養育者に対する既存の心理援助技術や評価方法について、研修を受けながら批判的に再検討し、関係性に問題のみられる親子を適切にアセスメントしたうえで個々に適応した援助プログラムを考案している。現在データを分析中であり、その成果は学会発表や論文によって公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリスで予定されていた面接技法のトレーニングが延期されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
直接海外の面接拉法のトレーニングを受講する方法だけでなく、該当の方法を参考に国内外の文献や事例から日本文化に適用しうる研究者オリジナル技法を考案することも視野に入れる。
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