2012 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児の養育者における自閉症広域表現型の日本語版評価法の開発に関する研究
Project/Area Number |
22730543
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 佐枝子 大阪大学, その他の研究科, 准教授 (20456924)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 自閉症特性広域表現型BAP / 養育者 / 社会的認知 / 対人関係 |
Research Abstract |
自閉症特性における広域表現型(Broad Autism Phenotype: BAP)は、自閉性障害児(ASD児)を持つ養育者や親族のみならず、一般人口内においても一定の割合でみられることが指摘されている。社会生活の困難さがこうした特性に起因することも示唆され、これらを正確に把握し支援につなげることが必要といえる。そこで本研究では、BAPを抽出できる質問紙尺度の邦訳版(BAPQ-J)を作成すること、そして社会的認知的特性の傾向を検討することを目的に質問紙調査と社会的認知機能課題調査を実施した。BAPQ(Hurley, et.al., 2007)の邦訳版開発研究では、子どもを持つ養育者179名(臨床群90名、コントロール群89名)を最終解析対象とし、BAPQ-Jの信頼性と妥当性が確認された。 次に、社会的認知特性に関する研究では、表情や動作から感情や人への信頼度を判断する社会的認知機能課題を用いた。予備調査において本邦における各課題の基準得点を算出した上で、本調査としてASD児と養育者を対象に、社会的認知特性と自閉症傾向との関連を検討した。その結果、高機能ASD児の認知特性として「恐れ」表情において感情の強度を弱く判断すること、多様な情動的情報が含まれた課題刺激では、「喜び」および「悲しみ」感情を適切に読み取ることが、またより複雑な感情や心的状態を顔の目元部分から読み取ることが、定型発達児と比して困難であることが認められた。次にASD児を持つ養育者の結果からは、BAPの「打ち解けなさ」の傾向がみられるほど「悲しみ」感情を適切に読み取ることが、また総合BAP得点の高いことや「厳格さや融通の効かなさ」がみられるほど、人の動きや複数の顔刺激から信頼性を判断することに困難な傾向が確認された。自閉症傾向やBAPといった特性が、部分的に社会的認知に影響を及ぼしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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