2010 Fiscal Year Annual Research Report
学生の自殺予防におけるコミュニティ・モデルの有用性に関する研究
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22730545
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
杉岡 正典 香川大学, 保健管理センター, 講師 (70523314)
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Keywords | 学生相談 / 自殺予防 / コミュニティ・アプローチ |
Research Abstract |
H22年度は,学生相談分野におけるコミュニティ心理学的研究の文献研究を行い,これまでの当該分野における研究の動向や検討点などを分析した。これは,本研究の方向性を定め進めていくうえで基本的かつ重要なプロセスであった。大学生に自殺に関する研究には,質問紙法を用いて自殺に関連する要因を検討する研究,これまでの実務経験を通して自殺予防に対する提言を行っている研究,さらには,予防教育的アプローチを行っている研究等があり,我が国における自殺予防研究の概要を知ることができた。 また,大学生の自殺予防にむけた学内連携に関する予備調査をまとめ,大学内における自殺予防のニーズについて検討した。その結果,教職員の学生支援に対する役割が以前にまして求められるようになったことで教職員の負担が増加していると思われた。また,教職員には,自殺問題を抱える学生や休退学や学習意欲の低下などの修学上の問題の背景に心理的要因が想定される学生との接触があり,その対応に戸惑いがあることが示唆された。さらに,保健管理センターには,個別の事例に対するコンサルテーションや学生の精神保健に関するFD研修会を求めていることが分かり,学内カウンセラーとしては,来談学生に対するカウンセリングに加えて,教職員のこのようなニーズに即した学内連携を模索し,キャンパスをエンパワーしていくことの重要性が明らかとなった。 今後の課題として,自殺予防に関する心理教育を実施する上で,教職員や学生の自殺予防に対する受け取り方について検討することが必要かもしれない。FD研修会や学生への心理教育的アプローチには,個々の教職員や学生の自殺予防教育をうける準備性(レディネス)も大きな要因になるかもしれない。このような要因を検討することで,学内において自殺予防に関するより効果的な心理教育を行うことができるかもしれない。
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Research Products
(2 results)