2011 Fiscal Year Annual Research Report
学生の自殺予防におけるコミュニティ・モデルの有用性に関する研究
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22730545
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
杉岡 正典 香川大学, 保健管理センター, 講師 (70523314)
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Keywords | 学生相談 / 希死念慮 / 自殺予防 |
Research Abstract |
昨年の文献研究に基づき,H23年度は,大学生を対象として,自殺予防教育に関する基礎的データを収集するための質問紙調査を行った。192名の大学生から分析可能なデータを回収した。主な結果としては,自殺願望や自傷行為のある学生は一定数みられること,学生間で自殺や死にたい気持ちについて話題になり相談が行われることはまれではないこと,にもかかわらず,自殺予防に関する教育を受ける機会は乏しかったことが明らかになった。また,大学で行う自殺予防教育の目的として,友人が自殺問題に遭遇した時の適切な手立てについて学ぶことに加えて,受講生自身の心身の健康やストレス対処力を高めることの必要性が検討された。さらに教育の方法として,自由参加や親密な関係作りの工夫,フォローアップを行うなどの配慮の上で介入計画を立てることが重要であることも明らかになった。 また,H23年度は,教職員を対象とした心理教育的アプローチを行った。理系学部の教員24名を対象に,学生対応に関する心理教育と質問紙調査を行った。質問紙調査では,教員に対して学生支援を負担に感じているかどうか,また,学生対応に不安を感じるかどうかを尋ねたところ,多くの教員が負担や不安を感じている実態が明らかとなった。 さらに,学生相談事例の分析を行い,希死念慮のある学生を取り上げ考察を加えた。行政レベルの自殺予防においては,多くの場合,中高年のうつ病対策の側面が重視される。大学においても,学生のうつ病対策という枠組みで自殺予防が実施されることが多いが,その一方で,青年期である大学生に特有の心理を考慮した自殺予防策も必要だと思われる。本研究は,希死念慮を青年期心性から自殺予防に関する大学カウンセラーの役割を考えていく上で役立つだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り概ね進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,初年度および昨年度の研究結果を踏まえて推進していくが,心理教育に関しては,実施可能性を考慮して,柔軟に方法を検討していく必要があるだろう。
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Research Products
(2 results)