2011 Fiscal Year Annual Research Report
周産期医療における「きょうだい」を含む家族支援に関する基礎的研究
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22730549
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
長濱 輝代 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (40419677)
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Keywords | 家族支援 / きょうだい / 周産期医療 / 心理的介入 |
Research Abstract |
本研究は周産期医療の家族関係育成の可能性について、(1)NICU入院児の母親ときょうだいの有する問題点の把握、(2)医療者、母親、きょうだい自身など各々の立場での問題点の差の明確化、(3)アンケート・インタビュー調査による家族関係や問題の予後把握を目的としており、主に本年度の研究内容は平成22年度からの継続的な研究内容の遂行と、研究目的(2)(3)の実施である。 平成23年度の研究における具体的成果について、(1)に関しては母体-胎児集中治療室入院中への妊婦・NICU入院児の母親へのインタビューを引き続き行った。特に予後の悪い入院児に関して、きょうだいへの説明や面会時の「心理的影響」への配慮が強く望まれており、関連する職種が有機的に協働する必要があった。(2)に関してNICUのソーシャルワーカー、医師、看護師へのインタビューを行った。職種の立場により、きょうだいや家族への視点、配慮の範囲や時期が異なることが明らかになった。(3)に関して、平成23年6月~平成24年2月末まで総合周産期センターに入院した児230名のうち、同意が得られた81名の保護者に対して3か月ごと1年間のアンケートを実施、現在分析中である。心理検査を実施できる対象年齢のきょうだいで了承を得られた事例がなく実施できなかったため、後方視的にきょうだいの問題点について比較・明らかにする目的で、平成18年6月~平成20年2月末に極低出生体重児として出生した143名に調査を依頼、うち20名に周産期医療における家族関係育成の可能性についてインタビューを行った。多くの家族はNICU入院を危機ととらえつつも、拡大家族、友人、地域の保健師等の支援を得て安定した生活を過ごすことができていたが、きょうだいに心身症や不適応がみられたり、母親の強迫的な行動を惹起していると推測される例が明らかにされた。これらの結果はきょうだいを含む家族支援への基礎的資料として意義あるものと考える。
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