2010 Fiscal Year Annual Research Report
フロー体験を促進させる活力資源育成プログラムの開発
Project/Area Number |
22730553
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
石村 郁夫 東京成徳大学, 応用心理学部, 助教 (60551679)
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Keywords | フロー体験 / ポジティブ心理学 / 強み / 健康生成 / 心理教育的介入 |
Research Abstract |
【目的】本研究では、日常生活におけるフロー体験を促進させる健康増進プログラムを開発し、無気力や抑うつへの予防効果を実証することが研究目的である。本年度は、欧米で展開されているポジティブ心理学の文献を参考にして、フロー体験を増加・維持させる認知行動様式を抽出することを目的とした。 【方法】欧米で展開されているポジティブ心理学の文献を参考にして、フロー体験を増加・維持させる認知行動様式を抽出した。評定する基準としては、(1)人格特性レベルの変容困難な変数ではないこと、(2)体験に基づいた説明可能な概念であること、(3)ある側面に偏っておらず、特定の価値観や信念に倫理的配慮がされていること、(4)一般へ転用できない特殊な状況で生じる現象ではないこと等であった。 【結果】抽出されたカテゴリーを分類し、それぞれのカテゴリーについて概念化を行った。前提条件として、(1)その分野への好奇心や情熱が高く、(2)自分の強みを活用できる環境を積極的に選択していることが挙げられた。また、その認知行動様式としては、(3)共通性はなく明確な様式は見られないものの、複雑さ(ある側面に偏っておらず、対立する極の思考や行動を備えており、環境に応じて最適な選択を柔軟に行える傾向)を持っていることが示された。この特徴を持つ人は、カール・ユングが成熟した性格として考えたものとして類似しており、両方の極の存在に気付いており、対立する緊張の中で統合されている可能性が示された。さらに、(5)自分の強みが利他的に活用されており、社会的に評価されている場合にフロー体験が維持されやすいことが示された。 【結論】フロー体験を増加・維持させる認知行動様式として、好奇心、情熱、複雑さ、強み活用等が挙げられ、特に、ある特定の分野において状況に応じた最適な対処を柔軟に行える複雑さを備えることが中心概念であることが示された。
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