2010 Fiscal Year Annual Research Report
成人期に達した先天性心疾患患者の自立と心理的特徴-発達過程との関連から-
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22730556
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 准教授 (50408952)
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Keywords | 心疾患 / 自立 / 心理的特徴 / 成人 |
Research Abstract |
本年度は今後の調査において焦点とすべき患者の心理的特徴を把握するため、文献研究、および面接調査を行った。現在まで成人期に達した先天性心疾患患者の心理的特徴については主に欧米で調査研究が進められている。しかしその心理的特徴について、結果は一定ではなく、一般群と比べて大きな差はないと示したものから、一般群より高い割合で精神医学的診断基準を満たす問題を持っているとした研究まで様々である。社会的自立についても教育レベルや就業状況、婚姻状況について国によって異なる結果が示されている。そこでまずは本邦において成人先天性心疾患患者にどのような心理的特徴が見られるのか、さらに実際の社会的自立はどのような状況にあるのか正確に捉えることが重要であると判断した。今回行った文献研究、面接調査から、患者の心理的特徴を捉えるためにまず次の点について調査を行っていくこととした。1.先天的な課題:(1)疾患の重症度、2.社会的課題:(1)親子関係の質、(2)友人関係の状況、3.その他の課題:(1)(患者自身の)疾患への捉え方、(2)自尊感情、社会性(社会的スキルなど)、4精神的健康度(抑うつ、不安の程度)。さらにこれらの課題がどのように関連して、精神的健康度を規定しているのかについても明らかにしていく。これらの想定をもとに質問紙調査の調査項目を決定、質問紙を作成した。現在、調査協力病院の倫理委員会に調査の実施を申請し、審査中である。倫理委員会からの決定を待って来年度はこの調査を実施する予定である。
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