2011 Fiscal Year Annual Research Report
心理援助の専門家に対する援助要請促進のための教育プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
22730557
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
永井 智 立正大学, 心理学部, 講師 (20513170)
|
Keywords | 臨床心理学 / 援助要請 / 被援助指向性 |
Research Abstract |
本年度の目的は、専門家への援助要請に対する態度等の心理変数を用いて、専門家への援助要請への影響を明らかにすることであった。昨年度の研究において、援助要請生起の基本的なメカニズムを質問紙調査によって明らかにした。そこで本年度は、そうした知見を組み合わせながら、専門家への援助要請に対する態度が、専門家への援助要請に与える影響を、質問紙調査により検討した。具体的には、大学生を対象に質問紙を実施し、専門家への援助要請意図、家族や友人への援助要請意図、実際の悩みの経験、専門家への援助要請行動に対する態度、ソーシャルサポート、自尊感情、過去の援助要請経験について尋ねた。 回帰分析の結果、ソーシャルサポートや悩みの経験は、友人や家族など、インフォーマルな資源への援助要請意図に影響していた。この結果は、これまでの研究結果とも一致するものである。 一方、専門家への援助要請においては、援助要請による不安や心配よりも、援助要請による成果期待がより大きな影響を示した。すなわち、カウンセリングなどの要因を妨げる心理要因は「相談することに対する不安や恐れが高い」からではなく、何より「相談することの良さを知らない」からである可能性が示唆された。そのため、専門家への援助要請を促進するためには、まずはこうした側面に焦点をあてた心理教育等が必要になると考えられる。また、過去の実際の援助要請経験が援助要請に影響していた。このことからも、実際の専門家に接することや、カウンセリングに関する知識を得ることによる態度の変容が期待できると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問紙調査を順調に行い、多くの研究成果を得た。しかしながら、調査サンプル数が十分とは言えないため、多少追加してデータを収集する必要がある。ただし、当初の予定に記載した研究以外の調査も複数回実施しており、研究全体の成果としては、順調なものであると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の調査結果により、専門家への援助要請を規定する心理変数が明らかにすることができた。今後、子の知見に基づいて、心理教育による介入のターゲットとする変数を定め、じっさいの介入調査を実施していく。
|