2012 Fiscal Year Annual Research Report
心理援助の専門家に対する援助要請促進のための教育プログラムの開発と評価
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22730557
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
永井 智 立正大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20513170)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / メンタルヘルス |
Research Abstract |
本年度の目的は、援助要請促進の介入活動の実施と評価を行うことであった。昨年度までの質問紙調査による研究で、カウンセリングの利用意図に対して、カウンセリングに対する態度や様々な個人的変数が関連することが明らかになった。こうした知見を踏まえ本年度は、大学生を対象に専門家への援助要請を促進するための教育プログラムを試行的に実施し、その評価を行う。 方法 対象:大学生 主な調査内容:①大学生における援助要請行動尺度 (木村・水野, 2003) ②専門家への援助要請行動に対する態度期待 (中岡, 2011) ③専門家への援助要請行動に対する態度不安 (中岡, 2011) ④大学生活における悩みの経験 (木村・水野, 2003) 調査手続きと分析方法 調査対象者を、統制群および複数の実験群に割り振り、介入前後に質問紙を実施した。実験群に対しては、心理的援助の専門家利用を促進するための心理教育を実施した。その結果、実験群でのみ、援助要請期待の下位尺度の一部に得点の有意な上昇がみられた。 我が国において、統制群を用いたデザインでの援助要請促進のための介入研究はまだほとんど存在しない。そのような中、今回の研究において、統制群との比較を行いながら、援助要請促進のための介入を実施し、一定の成果を得たことは、意義のあることであるといえる。しかしながら、当初介入対象としたすべての変数に変化が見られたわけではないため、この点については今後の課題であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究そのものは当初の予定通り進めることができているものの、実施した心理教育の内容は必ずしも十分に精査されたものとは言い難い。しかしながら、研究自体は予定通りのスケジュールで実施され、また一定の成果を得ている。そのため、本研究は基本的に、当初の予定通り進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、昨年度の研究成果を踏まえ、より内容を精査した援助要請促進のための介入プログラムを実施する。その際、測定する変数としては昨年度用いた変数に加え、精神疾患に対する知識や態度などの変数も含めることにする。
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