Research Abstract |
本研究では,摂食障害や食行動異常(摂食障害の前段階に位置づけられる食行動の問題)(以下,両者をあわせ食行動の問題)を予防するための心理教育プログラムを開発することを目的とした。なお,摂食障害および食行動異常の発現・維持に係る心理的メカニズム(科研費若手(B)課題番号20730455)(以下,心理的メカニズム)に基づき同プログラムを開発した。 本研究では,心理的メカニズムを踏まえ,(1)高い公的自己意識を低減させる方法の開発し,(2)(1)で開発した方法を実施し,公的自己意識の変化および公的自己意識の低減に伴う身体像不満足感の変化を測定し(3)心理教育プログラムのパッケージ化した。なお,(3)では,知識教育の有無により,教育効果に相違が認められるか否かについて検討した。 (1)では,心理教育プログラムの対象者となる女子学生に,教育内容の妥当性について評価を求め,より実施しやすいプログラム内容(視覚的教材)が開発された。また,(2)では,本心理教育プログラムを実施することで,高い公的自己意識が有意に低減することが示されるとともに,高い公的自己意識の有意な低減に伴い,特に身体に関する他者評価不満足感が有意に低減することが示された。こうした結果から,身体に関する他者評価不満足感が影響する過度のダイエット行動などを抑制する効果が期待できる。更に,(3)では,これまで心理教育を実施する際,知識教育を行い,予防意識などを啓発する必要性が指摘されていることから,本心理教育プログラムについて知識教育の有無における効果の相違について検討した。この結果,知識教育を用いない場合,公的自己意識や身体像不満足感の有意な低減が認められないことが明らかとなった。これらの結果を受けて,心理教育プログラムを体系化した。 以上から,食行動の問題を予防することを目的とした心理教育プログラムが開発された。
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