2010 Fiscal Year Annual Research Report
死別後の不適応リスクに応じた遺族ケアの方法と効果に関する研究
Project/Area Number |
22730567
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
坂口 幸弘 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00368416)
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Keywords | 遺族ケア / 死別 / 悲嘆 / リスク要因 / 社会的孤立 / 葬儀社 / ニーズ / NPO |
Research Abstract |
今年度は、死別後の不適応リスクに応じた遺族ケアの方法を検討する基礎資料を得るため、遺族の悲嘆を左右する要因に関する文献的研究を行うとともに、遺族の適応状態に応じた遺族ケアを実践している葬儀社の取り組みを調査した。文献的研究によると、遺族のリスク要因については、(1)死の状況(死の予期、死因など)、(2)故人との関係性(続柄、依存関係など)、(3)遺族本人の特性(不安定な愛着スタイル、精神疾患の既往など)、(4)社会的要因(社会的孤立、経済状況の悪化など)と分類できる。本研究の主な対象者である配偶者を亡くした高齢者を想定した場合、死別後に独居となるケースが増えてきている。また内閣府の調査では、独居男性高齢者の41.3%が「親しい友人はいない」、24.3%が「近所の人とのつきあいはない」と回答し、いずれも女性に比べ割合が高いと報告されている。したがって、伴侶を亡くした独居男性高齢者における社会的孤立は、一つの大きなリスク要因として考えられる。 一方、実態調査として今回調査した大手葬儀社は、社会貢献事業の一環として、2003年12月から遺族ケア活動を行っている。会員数は2010年末時点で、約550名である。この活動の特筆すべき事柄は、まだまだ適応できていない遺族を対象としたグリーフサポートと、少し状態が改善した遺族を対象としたライフサポートの二本柱で取り組んでいる点である。グリーフサポートとして毎月開催しているサポートグループに加え、ライフサポートとして健康・交流・学習をテーマとした分科会や、日帰りバス旅行などを実施している。さらに、会員有志が自らの体験を活かしてボランティア活動を行うNPO法人が、2010年1月に設立された(会員数123名)。このような葬儀社による一連の遺族ケア活動は、遺族の適応状態やニーズに応じたケアモデルの一つとして注目に値すると考えられる。
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Research Products
(3 results)