Research Abstract |
目的:不眠症は,その後のうつ病や自殺のリスク要因であることが指摘されている。現在,不眠症に対する非薬物療法として,認知行動療法の有効性が明らかにされているが,その再発予防効果は高いとは言えない。現在,不眠の発症,再発のリスクを予測することが指摘されている尺度として,Ford Insomnia Response to Stress Test (FIRST)がある。そこで本研究ではFIRST日本語版を作成した。 方法:対象者は,一般成人161名(男性108名,女性53名,平均年齢51.4±9.5歳),不眠症患者181名(男性78名,女性103名:平均年齢47.3±16.0歳)を対象に,不眠関連尺度(PSQI,AIS,ISI,DBAS),ストレス関連尺度(PSS),疲労尺度(MFI),不安・心配尺度(STAI,PSWQ),抑うつ尺度(SDS)を実施した。 結果:因子分析の結果,両群ともに1因子構造であり,高い信頼性と妥当性を有していることが分かった。また,FIRSTは不眠症患者の方が高く,病的水準を測定するためのカットオフ得点は22点であった。 意義と重要性:本研究によって,FIRST日本語版の妥当性が明らかにされたことで,今後,健常者を対象とした不眠発症リスクに関する調査研究や,不眠の再発予防効果としての認知行動療法の効果について検討することが可能になる。
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