2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730582
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣瀬 信之 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (40467410)
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Keywords | 視覚的意識 / オブジェクト置き換えマスキング / 色変化 / 到達時間推定 / 輪郭ぼけ |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,物体視と運動視の相互作用が我々の安定した知覚の礎となっているという観点から,物体視と運動視に関わる現象について調べることである.本年度は,昨年度に引き続き,運動処理に関わる脳部位との関連が指摘されているオブジェクト置き換えマスキング(OSM)におけるマスクプレビュー効果,3次元仮想空間上での到達時間(TTC)推定におけるオブジェクト輪郭ぼけの影響,についてさらに検討した.OSMにおけるマスクプレビュー効果とは,マスク刺激をプレビューすることでOSMが大幅に減弱する現象である.昨年度は,プレビュー時とターゲット呈示時でマスクの色を灰から赤へと突然変化させることで,プレビューしたにも関わらずOSMが復活することを明らかにした.本年度は,昨年度の実験の問題点を改良して緑から赤など他の色変化についても検討し,色変化によるOSMの復活という現象の頑健性を確認した.この成果を,日本基礎心理学会第30回大会で発表し,優秀発表賞を受賞した.TTC推定における輪郭ぼけの効果について,昨年度,接近オブジェクトの輪郭を単純平滑化フィルタによりぼかすと輪郭が明瞭な場合と比べてTTCが遅く見積もられること,その程度がぼけ具合とともに増大することを明らかにした.本年度は,この知見を日本心理学会第75回大会で発表し,さらにガウシアンフィルタを用いて輪郭をぼかした場合にも同様の結果が得られることを明らかにし,ぼけるほど接近速度を遅く見積もっているごとを示唆するデータを得た.この他にも,動的計画法(DP)マッチングやBoosting的学習を用いて,サッカーペナルティキックにおいて左右コースに蹴り分ける動作について各コースを特徴づけるような動きが見られる身体部位や時間を検討したり,信号検出理論を適用することでバレーボールの攻撃のパターン(スパイク・フェイント)とコース(左・右)の判断における競技レベルと経験による予測能力と反応の偏りの違いについて検討したりした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OSMにおけるプレビュー効果,3次元仮想空間上でのTTC推測におけるオブジェクト輪郭ぼけの影響のいずれについても,昨年度の実験結果を踏まえて,その問題点をクリアする条件設定を行い,現象の頑健性を確認するとともに新たな成果を得ることができた.特に,前者についての成果発表では,日本基礎心理学会第30回大会で優秀発表賞を受賞することができた.このように研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
マスク刺激の色を変化させることでOSMがプレビュー効果から復活すること,接近物体をぼかすことでTTC推定値が増大するという現象を発見したことから,当初の予定を遅らせてこちらの検討を進めてきた.そこで,今後は,まずこれまでの2年間で得られた成果をまとめて論文を執筆して国際学術雑誌に投稿する.それと同時に当初の予定にある運動による視認性低下に関する2実験を進めていく.
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[Journal Article] Dissociable neural activations of conscious visibility and attention2012
Author(s)
Tsubomi, H., Ikeda, T, Hanakawa, T., Hirose, N., Fukuyama, H., Osaka, N.
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Journal Title
Journal of Cognitive Neuroscience
Volume: 24
Pages: 496-506
DOI
Peer Reviewed
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