2010 Fiscal Year Annual Research Report
嗅覚を介する閾値上・閾値下の感情惹起過程の心理・生理的反応の検討
Project/Area Number |
22730584
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 剛史 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (30334022)
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Keywords | 嗅覚 / 感情プライミング / 閾値 / 快・不快 / 感覚強度 / 自律神経反応 |
Research Abstract |
本研究では,嗅覚を介した意識下(閾値下)の情動的処理,すなわち「閾下情動(感情)プライミング」実験を検討するための新たな実験系を構築すること,そして嗅覚系を介した閾下感情プライミング効果が生じるかについて検討すること,そして同効果が生じる際の生理的反応の測定条件の構築を目的としている.平成22年度は,このうち,実験系の構築と嗅覚を介した閾下感情プライミング効果について検討を行った. 嗅覚刺激提示装置の構築は平成22年度でほぼ完成した.嗅覚刺激と室内空気の流量を変化させることなくエアー圧で切り替える装置の制御系およびソフトウェアを独自に完成させ,上記の実験系の構築が可能となった(エアー圧による切り替えには少量ではなるが切り替え音声が発生するため今後の改良点として従来のホワイトノイズの同時提示からノイズキャンセリングヘッドフォンの使用が決定した.同ヘッドフォンを用いた実験は平成23年度から行う). 次に,感情プライミング実験では,視覚刺激を閾下プライミング刺激,嗅覚刺激をターゲット刺激として,ターゲット刺激に対する快・不快度,感覚強度等の主観的指標を評価した.視覚刺激は顔表情刺激(ポジティブ表情/ネガティブ表情)であった.予備実験で,顔表情視覚刺激を10ミリ秒で提示した場合は閾下刺激として,40ミリ秒で提示した場合は閾上刺激となることが確認された.一方,20ミリ秒で提示した場合は,被験者によって閾下/閾上刺激となるかには個人差が生じることが確認された.同条件でターゲット刺激である嗅覚刺激に対する主観的反応に及ぼす影響を検討したところ,閾下提示された顔表情刺激がネガティブ表情である場合,特に女性被験者において閾下感情プライミング効果が見いだされることが明らかになった.しかし同効果は相対的に小さなものであり,今後さらに確認実験を行う必要がある.
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Research Products
(5 results)