2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症患者の潜在症状を利用した介護・支援技術の開発
Project/Area Number |
22730587
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
緑川 晶 中央大学, 文学部, 准教授 (90421833)
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Keywords | 認知症 / 介護 / 実験心理学 |
Research Abstract |
平成22年度は,当初の目的に沿って,以下の研究を行った. 1,軽度から中等度の認知症患者の家族や,家族会やデイサービスなどで介護に従事する者を対象に,認知症患者の潜在的な症状や残存・亢進する機能に関して質問紙調査と面接調査を実施し,探索的な検討を行った.調査の結果,(1)多くの家族や介護者が認知症患者に残存・亢進する機能について,(顕在化されてはいないが)それらの存在を認めていることが明らかとなった.しかし亢進した機能については,当初はネガティブな評価を行っており,調査の中で顕在化されポジティブな評価に移行する例も認められた.(2)介護従事者に対する調査では,認知症患者が持つ残存・亢進する機能を利用することで,質の高い介護を実践していることが明らかとなった.しかし,その多くは介護者間で顕在化された形で利用されるのではなく,介護者の個人的な技量や暗黙知として利用されることが示された.次年度はこれらの調査項目を利用して,より大規模に家族・介護者に対する調査を実施する予定である. 2,重度の認知症患者の残存能力の把握をめざし,選好注視法や事象関連電位などの実験心理学的な手法を用いて残存・亢進する機能について実験的な検討を行うことを目的に,実験協力者やその家族に対する調査協力の要請と,実験環境の整備を行い,選好注視法については通常のコミュニケーションが困難な重度の前頭側頭葉変性症の患者に実施することに成功し,事象関連電位の実験機器についても,実験室外の自然環境下での実施をめざし,機材の準備にあたっている.
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Research Products
(8 results)