2012 Fiscal Year Annual Research Report
認知症患者の潜在症状を利用した介護・支援技術の開発
Project/Area Number |
22730587
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
緑川 晶 中央大学, 文学部, 教授 (90421833)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 認知症 / 前頭側頭型認知症 / 残存機能 / 感覚過敏 / 選好注視法 / 顔認知 / ケア |
Research Abstract |
認知症の残存機能に関する検討を2つの側面から行った.一つは前頭側頭型変性症(frontotemporal lobar degeneration: FTLD)を対象にした残存機能に関する研究で,意思の表出などが完全に困難になった患者を対象とした.症例は,64歳頃より言葉が出ないことで異常に気づき,徐々に把握反射,強制笑いなどを示し,69歳頃には一般的な認知機能検査は試行不能な状態となっていた.検討時の年齢は75歳で,椅子に座ることは可能であるが自発的な運動表出は完全に失われていた.この患者に対して,選好注視法を用いた顔弁別課題を実施したところ,既知顔・未知顔の弁別が可能であることが確認された.そこで2012年度は,熟知した顔と新規な顔の弁別課題を実施した.その結果,実施そのものは可能であったが,弁別の可否までは明らかではなかった.呈示方法や分析方法の工夫を要すると考えられた.もう一つは,感覚過敏に関する研究である.先のFTLD患者は,経過の中で幾何学的な対象に過敏性を示すことが明らかとされたが(PMID: 21098963),この他にも意味性認知症(semantic dementia: SD)の患者でも視覚対象に対する過敏性を示すことがある(PMID: 18756086).そこで認知症患者全般で各種の感覚に変化が生じるか否か,患者を介護する家族31名に18項目から構成される質問紙を用いて確認したところ,3つの因子(「環境に対する関心」,「人に対する関心」,「内的関心」)が抽出された.このように認知症患者は認知機能の低下だけではなく,異なった領域の各種の過敏性が生じることが明らかとなった.また,患者の家族の中には,このような過敏性に配慮したケアを行うことで,患者の問題行動が軽減した事例があり,このような特性を理解することがケアにおいて大切であること考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)