2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730588
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 景子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (70546861)
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Keywords | 睡眠 / レム睡眠 / 夢見体験 / 急速眼球運動 / 音刺激呈示 / 夢見聴取 |
Research Abstract |
しばしば睡眠中には、鮮明でありありとした夢見体験が出現する。夢は、一晩の睡眠でもまるで何かを目で追いかけているような急速眼球運動が出現するレム睡眠中に多く出現することが知られている。これまでの申請者の研究結果より、急速眼球運動の出現に伴って、夢の情動・記憶要素、運動要素、そして視覚要素の生成に関わる脳部位の賦活が生じることが示された。しかし、急速眼球運動に伴うこれらの脳活動と実際の夢内容の直接的な対応はこれまで検討されていない。そこで本研究では、寝ている被験者に外部から音刺激を与え、主観的体験である夢見体験の時間軸を特定した上で、その際の夢と脳活動の関連を検討することとする。具体的には、1晩に3,4回、レム睡眠が出現する度に被験者を覚醒させ夢見聴取を行い、睡眠中のポリグラフデータ(脳波・眼電図・筋電図)の取得を行い、夢見内容と急速眼球運動に伴う脳電位(P20r,ラムダ様反応)の相関関係を検討した。P200rはその発生源が運動野・頭頂連合野であることから身体運動と情報の統合に関連する活動を反映、ラムダ様反応は発生源が視覚野であることから視覚情報処理を反映すると考えられる。検討の結果、レム睡眠中の急速眼球運動およびこれに伴う脳電位はそれぞれ、夢の特性と特異的な関連を示した。夢見体験がある場合は、ない場合よりも急速眼球運動密度が高く、夢の印象度と有意な正の相関関係を示した。P200r振幅は夢の活動性・奇異性と有意な正の相関関係を示した。これに対して、ラムダ様反応は、夢内容とは有意な相関関係は示さなかった。これらの結果より、レム睡眠中に急速眼球運動が多いほど夢見体験が多く、内容もより印象的になること、P200rの反映する脳の活性化により夢の内容がより活動的で奇異的になることが示された。本研究結果より、レム睡眠中の脳電位と夢見体験の対応を示すことが出来た。主観体験である夢見について脳電位という客観データで示すことにより、今後は夢め役割だけでなくレム睡眠中の脳機能についても検討することが可能となる。この検討により脳機能現象の一つである夢の役割のみならず、睡眠の機能についてもその解明への貢献が今後期待できる。
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Research Products
(7 results)