2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730591
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
小森 政嗣 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (60352019)
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Keywords | 表情表出 / 形態測定学 / モーションキャプチャ / 多変量解析 / 3次元モーフィング / 薄板スプライン法 / インタラクション / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究計画は,基本6表情に含まれない「複雑な」表情の時間的・空間的特性を明らかにすることを目指している.平成23年度の研究計画では,統制された実験室環境における表情表出の実験手法の検討を計画しており,それに従って表情表出実験パラダイムの構築を試みた.当初,様々な情動を喚起する画像を実験参加者に呈示して表情の変化を計測し解析を行うことを予定していた.しかし検討の結果,実際に情動を喚起する画像を提示したとしても,大きな表情変化は生じないことや,また,画像の理解にかかる時間に大きな個人差がみられるため,表情表出までの潜時がまちまちで一貫しないといった問題が見出された.そこで,様々な表情画像を呈示し,実験参加者の同調的な表情変化の時系列変化を検討することにした.この手法は,表情表出までの潜時が安定しており,表情表出解析において有効な実験手法であるといえよう.また,平成23年度は顔面に布置された標識点追跡手法の改善を中心に検討を行うことを目指していたが,これまで行ってきた手法よりも性能が高い赤外線モーションキャプチャ装置を用いることが可能となったため,研究計画を変更し,表情変化の時系列データを扱うための多変量解析手法の構築を中心に検討を行った.例えば,様々な刺激画像を呈示したときの実験参加者の時系列的な顔面上の標識点座標データは,4元データとなる(時系列×顔形状×刺激×表出者).このような4元データは通常いずれかの元をつぶして解析がなされることが多い.しかし,拡張主成分分析の一つであるParafacモデル(Candecompともよばれる)やTuckerモデルを適用することで,4元データをそのまま解析することが可能となる.平成23年度の検討では,これら拡張主成分分析手法が,表情の動的因子の抽出に有効な手法である可能性が,予備的な実験の結果から示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は複雑な表情の時系列変化から,表情を構成する因子を見出すための解析手法の構築を目標のひとつとしている.平成23年度は,表情の時系列変化を解析する手法として,Parafacモデルなどの拡張主成分分析が有効な手法であることを見出した.このことは,本研究計画の達成において重要な意味を持つと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで2年間の研究から,本研究計画を遂行するための,実験手法,表情計測手法およびその解析手法が確立されたと言える.今後は,実証データを重ねることで,表情表出に関する新たな知見の提供を行うべく,実験を重ね早急にその知見を公表していく必要がある.
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Research Products
(2 results)