2010 Fiscal Year Annual Research Report
身体活動レベルに基づく潜在的知識の利用可能性に関する研究
Project/Area Number |
22730594
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
遠藤 信貴 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (00454869)
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Keywords | 身体活動レベル / 潜在学習 / 視覚的文脈 |
Research Abstract |
本研究の目的は,偶発学習事態における潜在学習パラダイムに基づき,学習者の身体活動レベルと潜在学習特性の関係を明らかにすることである。身体活動レベルの評価は,国際標準化身体活動質問票(IPAQ)の日本語版(村瀬・勝村・上田・井上・下光,2002)を用いた。平成22年度は,健常高齢者を対象とした心理物理実験により,以下の2点について検討した。 1.身体活動レベルと視覚探索効率の関係 本研究の中心的な実験パラダイムは視覚探索課題をベースにしており,複数の刺激から特定の目標刺激を探し出す際の時間的効率が日常的な身体活動レベルによって影響されるのかを検討した。その結果,身体活動レベルの高低による視覚探索効率の違いは認められなかった。 2.身体活動レベルによる視覚的文脈の潜在学習特性 学習者の身体活動レベルの高低が視覚的文脈の潜在学習効果に及ぼす影響について検討した。同一あるいは類似した刺激画面を反復経験することにより,目標刺激の探索時間は短縮されること,またこの効果は健常高齢者においても観察されることが先行研究によって明らかにされている。本研究の結果,視覚的文脈の潜在学習効果は,日常的な身体活動レベルが高い高齢者においてのみ観察され,身体活動レベルが潜在的知識の獲得/利用に強く影響することが明らかになった。本年度は高齢者データの収集を中心に行ったが,高齢者データの比較対象となる若齢者データの収集は,来年度はじめから実験を継続的に実施していく予定である。
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