2011 Fiscal Year Annual Research Report
身体活動レベルに基づく潜在的知識の利用可能性に関する研究
Project/Area Number |
22730594
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
遠藤 信貴 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (00454869)
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Keywords | 潜在学習 / 身体活動レベル / 視覚的文脈 / 課題方略 |
Research Abstract |
本研究の目的は,偶発学習事態における潜在学習パラダイムにおいて,学習者の日常的な身体活動レベルと潜在学習の生起の関係を明らかにすることである。身体活動レベルの評価には,国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire:IPAQ)の日本語版(村瀬・勝村・上田・井上・下光,2002)を用いた。平成23年度は,健常高齢者および若齢者を対象とした心理物理実験により,以下の2点について検討した。 1.若齢者における身体活動レベルと潜在学習の生起の関係 平成22年度に行った高齢者を対象にした実験から,日常的な身体活動レベルと潜在学習効果の間には関連があり,身体活動レベルが高い群においてのみ潜在学習が生じることが明らかになった。この結果が加齢に特有のものであるのかを明らかにするために,若齢者への検討を行った。その結果,高齢者と同様に,潜在学習効果は身体活動レベルの高い群においてのみ認められたことから,身体活動レベルと潜在的知識の獲得小利用の関連は,加齢に関係ない一貫したものであることが明らかになった。以上の結果は,身体活動レベルが日常生活における認知機能の維持・向上に影響する可能性を示唆するものであるが,運動処方の有無より学習効果がどのように変化するのかについては今後の検討課題である。 2.身体活動レベル・課題方略と潜在学習の生起の関係 学習者が用いる課題方略は,潜在学習の生起に影響する。先行研究から学習画面へ局所的な注意を向けるよりも,全体へ広く注意を向ける方が学習効果は大きいことが明らかにされている。これを踏まえ,日常的な身体活動レベルが低い群においても課題方略をコントロールすることによって潜在学習の発現が促されるのかについて検討した。その結果,相対的に身体活動レベルの低い群であっても,適切な課題方略を用いることにより潜在学習の発現が認められた。このことから,課題方略が潜在学習に及ぼす影響は極めて頑健かつ強力であり,今後,潜在学習を基盤とした技能習得支援などの技術の確立において考慮すべき重要な要因であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)