2010 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連脳電位による新たな弁別推定アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
22730595
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
松田 いづみ 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80356162)
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Keywords | 弁別 / 事象関連電位 / 隠匿情報検査 |
Research Abstract |
1.研究の背景 本研究は,「被験者がある刺激と他の刺激を弁別しているか」を,刺激に対する脳波の変化(事象関連電位)から推定することを目的とする。事象関連電位から弁別が推定できれば,人の好みや気になるものを,言葉や行動を介さずに知ることが可能になる。また,犯罪捜査場面において,「被験者が事件に関係する刺激と関係しない刺激を弁別しているか」を調べる隠匿情報検査にも応用できる。本研究では,実用場面を考え,「できるだけ少ない電極数からできるだけ少ない試行回数で」事象関連電位を測定し,弁別を推定するアルゴリズムを考える。 本年度はまず,弁別が事象関連電位にどのように反映されるのかを調べた。 2.分析データの収集 被験者20名に模擬的に窃盗を行わせた。その後,窃盗品(事件関連刺激)を尋ねる隠匿情報検査を行った。検査中の脳波を測定した。 3.結果 事件関連刺激・事件非関連刺激間での事象関連電位の違いは,以下の2つの成分にみられた。(1)刺激呈示後200ms後に生じる中心部優位の陰性電位(N2),(2)刺激呈示後500ms以降に生じる後頭部優位の陽性電位(Positive slow wave)。特に,Positive slow waveは電位が大きく,事件関連・非関連刺激間の差異も大きかった。 4.考察 Positive slow waveは,後頭部に1つ電極を装着すれば測定できる。また,SN比が大きい。Positive slow waveに注目すれば,「1つの電極から少ない試行数で」弁別の有無を推定できる可能がある。 5.次年度の課題 Positive slow waveを利用して弁別を推定し,その精度を確かめる。
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Research Products
(3 results)