2011 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連脳電位による新たな弁別推定アルゴリズムの開発
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22730595
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
松田 いづみ 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80356162)
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Keywords | 事象関連電位(ERP) / 弁別 / 後期陽性電位(LPP) / ブートストラップ法 / 隠匿情報検査 / 意思伝達 / ポリグラフ検査 |
Research Abstract |
「他者がある刺激を他の刺激と区別(弁別)しているか」を生理反応から知ることができれば,意思伝達やウソ発見など,幅広い分野に応用できる。特に,刺激に対する脳波の変化である事象関連電位(Event-related potential:ERP)を指標として弁別を推定することが期待されている。しかしERPを求めるためには,刺激を20回以上繰り返して提示し,脳波を加算平均することが必要である。これでは応用できる分野が限定されてしまう。そこで本研究では,少ない刺激提示回数で,ERPから刺激弁別の有無を推定するための統計的手法を開発した。 まず,弁別しているときにどのようなERPが生じるかを調べた。ERPデータの収集には隠匿情報検査パラダイムを利用した。この検査は犯罪捜査で利用されているものであり,被検査者が事件に関する記憶を持っているか否かを,事件関連刺激と非関連刺激の弁別の有無から推定するものである。事件関連刺激に対しては,刺激提示後400-1000msに,後頭部において陽性電位の増大がみられた。 次に,この後期陽性電位に基づいて,少ない刺激提示回数で弁別を推定する方法を開発した。事件関連刺激と非関連刺激の差波形を求め,400-1000ms区間のピーク振幅を算出した。そのピーク振幅が統計的に有意に大きいか否かを,ブートストラップ法を用いて判定した。その結果,刺激提示回数が5回程度でも,刺激弁別の有無を有意に正しく推定できることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)