2012 Fiscal Year Annual Research Report
ルソー教育思想の思想史的再検討―「霊操」の視座から―
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22730600
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
室井 麗子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (40552857)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 教育思想 / ルソー / ペトラルカ / ヒューマニズム / 生き方としての哲学 / 孤独 |
Research Abstract |
本年度は、ルソーの教育思想を、「霊操」を分析枠組みとし、ペトラルカの自己形成論を参照枠として、ヒューマニズムの思想史的文脈の中で再検討するという昨年度の課題をさらに発展させた。 まず、近代教育における古代レトリックとルネサンス・ヒューマニズムの受容に関する先行研究を整理・分析した。次いで、ペトラルカのヒューマニズム哲学を、先行研究を手がかりにしながら「生き方としての哲学」(=霊操)という観点から検討した。さらに、こららの作業を通して得られた成果をもとにルソーの教育思想を再読した。具体的には、ペトラルカの『孤独生活論』とルソーの『告白』、『孤独な散歩者の夢想』ならびに『エミールとソフィ』とを対置させ、「孤独の自己実践としての自己形成論」として両者の呼応関係を浮き彫りにした。これらの作業を通して、近代人であるルソーの教育思想には、ペトラルカのヒューマニズム哲学が「生き方a way of life」として、また「孤独の自己実践」として流れ込んでいること、近代教育においてヒューマニズムは、形式主義にのみ回収されるものではなく、「生き方としての哲学」としても継承されているということを明らかにした。加えて、現代の教育課題と関連づけながら「孤独」の教育的意義を明示した。 本年度はさらに、上記のような教育思想史研究の成果の、教員養成・教育実践における役割とその展開の方向性についても検討した。教育思想史研究の成果は教育実践のためのいわば「羅針盤」を提供し得ること、教員養成において教育思想史研究者は、学生たちと教育思想家たちとの対話を成立させ深化させるための、いわば「通訳者」のような存在であること等を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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