2012 Fiscal Year Annual Research Report
「現実‐潜在」関係に関する思想史的研究―ホリスティックな知の再検討
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22730616
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小野 文生 同志社大学, 高等研究教育機構, 研究員 (50437175)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 現実 / 潜在 / ユダヤ思想 / ブーバー / レヴィナス / 様相 / 世紀転換期 / ホリスティック |
Research Abstract |
本研究は、(1)ユダヤ思想、(2)世紀転換期の「科学と神秘」思想、(3)様相論の思想的系譜という3つの研究対象の軸を作り、「現実‐潜在」関係を思想史的観点から再検討するという課題をもっている。本年度もこの全体構想に従い、(1)に関しては、イスラエル・ヘブライ大学で開催された同志社大学一神教学際研究センター&ヘブライ大学国際シンポジウム(Interpretations of Traditions: Maimonides, Spinoza, Buber, Levinas and the After)にてブーバーに関する研究発表をおこない、イスラエルのユダヤ学研究者と討議および意見交換をするとともにイスラエル国立図書館にて資料・文献調査ををした。また、ドイツのヘッペンハイムのブーバー学会およびハイデルベルク・ユダヤ学大学にて開催された国際会議50 Jahre-Martin-Buber-Bibelへ参加し、ブーバー聖書翻訳に関する最新の研究動向を調査できた。いずれの会議でも国際専門学術誌への寄稿を依頼されるなど、今後の研究の進展に向けて足がかりを得ることができた。また、レヴィナスやベンヤミンに関する文献読解もあわせておこなった。(2)に関しては引き続き関連文献を分析し、その成果の一端を教育思想史学会のコロキアム「教育思想家は科学(Wissenschaft)をどうとらえてきたか」の司会+コメント+報告に反映させた。(3)に関しては京都学派、およびアガンベンの読解を通じて考察を進めた。さらに、「現実‐潜在」関係をめぐる知の現代的展開、およびその教育思想的文脈における意義に関しては、教育哲学会でのコロキアムや国際会議において、ここまで得られた知見の一端を発表し、討議の場で批判的検討を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全計画の3年目にあたる本年は、国際学会への参加や海外研究調査をとおして当該研究対象をめぐる研究状況を広くサーヴェイし、他の研究者と意見交換すると同時に、関連文献の収集や分析をおこなうことに力を注いだ。萌芽的な成果の一部を公表できたことに加え、それぞれの軸において新しい知見や今後の方向性への示唆をえられたことは、次年度以降の作業の準備として有益であった。また、自分の中でさまざまにアイデアの拡散と収束がくりかえされており、主観的に判断すればこれは「よい状態」である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更に関して、とりわけて注記すべきほどの内容はない。おおむね、これまでと同様に、当初の研究計画通りに推進する。
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Research Products
(14 results)