2014 Fiscal Year Annual Research Report
討議の実現に関する教育学的研究-「生活世界の合理化」方略と討議主体形成を中心に-
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22730620
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
丸橋 静香 島根大学, 教育学部, 准教授 (10325037)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハーバーマス / 話し合い / コミュニケーション / 慣習 / オースティン |
Outline of Annual Research Achievements |
設定した三つの研究目的のうち、二つの目的(ハーバーマスにおけるオースティン言語行為論受容の批判的検討、話し合い活動指導方法の提案)を達成し、一つの論文にまとめた(「J・ハーバーマスのコミュニケーション的行為の理論に基づく話し合い活動の充実方策―ハーバーマスにおけるオースティン言語行為論受容の批判的検討を通して―」『教育臨床総合研究』(島根大学教育学部)第14巻、2015年(印刷中))。 この論文の概要は次のとおり。 まず、ハーバーマスのオースティン言語行為論の受容を論じた。ハーバーマスはコミュニケーション的行為の概念を、オースティンの発語内行為の概念と同一視しているが、発語行為における慣習やコンテクストの重要性を示唆するオースティン言語行為論の含意を真には受け取っていない。 次に、発語行為におけるコンテクストの意義に対するハーバーマスの認識を明らかにするために、彼の生活世界概念を論じた。ハーバーマスは、コミュニケーションの参加者は直観的(前理論的)に生活世界に巻き込まれていると述べるにもかかわらず、生活世界の根本的な要素を言語と見なしている。彼は、ある意味において、言語を形而上学的な地位にまで高めている。しかし、コミュニケーションは言語のみに還元されるわけではない。このような還元は討議の成立可能性を排除してしまう。というのも、一元的な文化や言語は、反省的な討議をもたらしえないからである。 最後は、学校のなかにコミュニケーション的行為や討議を普及させる方法を論じた。一方でコミュニケーション的行為を普及するためには、教室の子どもたちに共同体意識(コンテクスト)を育むことが大切である。しかし、同時に、そこにある権力関係の是正も重要である。他方で討議を普及するためには、教師は、子どもたちに、異なる文化、価値、慣習(コンテクストのずらし)を提示することが重要である。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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