2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730630
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
櫻井 歓 日本大学, 芸術学部, 准教授 (60409000)
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Keywords | 教育学 / 西田幾多郎 / 人間形成論 / 木村敏 / 自立/自律 / 「おのずから」と「みずから」 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究は、西田幾多郎のテクストを人間諸科学との比較思想的な検討を重視しつつ人間形成論として読解し、教育学の分野から新たなコンテクスト設定を試みるものである。4年計画の2年目に当たる平成23年度の研究実績を各論的に示せば以下の通りである。 1.「臨床哲学」を掲げる精神医学者・木村敏における西田哲学の受容に着目しながら両者を人間形成論として読解する思想研究を行い、教育思想史学会第21回大会において発表した(2011年9月)。「「おのずから」より「みずから」へ-木村敏と西田幾多郎を介しての「自立/自律」概念の再検討一」と題する本研究では、教育の目的とされる個人の「自立」あるいは「自律」という概念を、古来の日本語の「おのずから」と「みずから」という概念対を比較対象として捉え直すことを試みた。木村の自己論とそれに多大な影響を与えている西田哲学に依拠しながら考察を進め、しばしば対立的に捉えられる「依存/他律」と「自立/自律」とは相互に浸透し合う関係があり、単純な二項対立図式では捉えられないことを明らかにした。本研究は、これまで別々に論じられてきた「自立/自律」概念(西洋的概念)と、「おのずから」と「みずから」という概念対(日本的概念)とを架橋して統一的に論じたところに、その意義・重要性を持つものと考えられる。 2.アメリカ合衆国において、西田哲学研究に関する文献資料の調査、ならびに当該分野に関する在米日本人研究者へのインタヴュー調査を行った(2012年2月)。コロンビア大学(ニューヨーク)の東アジア図書館にて西田関係の資料の調査を行い、豊富な日本語文献と英語文献の所蔵を確認したほか、西ワシントン大学(ワシントン州ベリンハム)の図書館においても同様の調査を行うとともに、同大学の遊佐道子教授に面会して米国での西田哲学研究の状況等に関するインタヴュー調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の基礎的作業にあたる『西田幾多郎全集』のテクストの電子データ化が遅れていること、ならびに本年度に行った学会発表に基づいて執筆している研究論文(学会発表内容の加筆・修正)が年度内に完成しなかったことにより、「やや遅れている」と自己評価せざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
テクストの電子データ化の作業については、平成23年度末にオートドキュメントフィーダ(ADF)を導入したため、次年度の作業の効率化が見込まれる。本年度はテクストの電子データ化作業のための時間が十分に取れなかったことが反省点であるが、次年度は、冊子体のテクストから一旦コピーしたものをADF装着のスキャナーで読み取る方法により、比較的に短時間で作業が進められることを期待している。 本年度中に完成しなかった研究論文については、新年度に入った当初において(現在)、引き続き執筆を続けているところであり、近日中に完成させて学会誌に投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)