2011 Fiscal Year Annual Research Report
米国学生支援における学生スタッフ参画を巡る議論と帰結―専門職団体に焦点を当てて―
Project/Area Number |
22730632
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
橋場 論 立教大学, キャリア教育オフィス, 学術調査員 (50549516)
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Keywords | 教育学 / 学生支援 / 学生参画 / 専門職団体 / 学生発達理論 |
Research Abstract |
本研究は、米国学生支援における学生スタッフの支援参画を巡り、専門職団体が展開した議論やその帰結について分析することで、学生スタッフの支援参画の意義や運用上の課題の解明を目的とする。第一に学生支援に関する専門職団体が発行する機関誌の記事の検討を通じた学生スタッフの支援参画に関する認識の分析、第二に議事要旨等の検討を通じた専門職団体における議論とその帰結に関する分析を課題とする。 研究の2年目に当たる平成23年度は、第一の課題である雑誌記事の分析を中心に進めた。さらに、専門職団体の会議議事要旨などの資料収集を補足的に行い、専門職団体における議論とその帰結に対する考察を深化させた。上記の作業により、主に以下の二点が解明された。 1 雑誌記事の分析:学生スタッフの参画は、学生支援の諸領域の中でも特に学生寮において活発に展開された。学生寮は米国の大学において学生の生活と学習を統合する重要な教育施設であり、大学教育の象徴として捉えられていた。それゆえ、学生寮から他の支援領域へと拡大した学生スタッフの支援参画は、学生スタッフや支援を受ける学生の成長や心理的発達に対する意義が主張されるのみにとどまらず、学生自治を具現化する取り組みとして位置づけられていた。 2 専門職基準策定過程の分析:当初に策定を予定していた学生スタッフに関する独立した基準が廃案となり、学生支援に関する専門職基準の中に学生スタッフに関する簡素な規定が盛り込まれることとなった。これは、学生スタッフの参画の重要性が否定されたというわけではなく、基準策定における技術的な問題によるものであった。他方で、専門職基準の内容からは、学生スタッフの役割を統制しようとする学生担当職の意図が看取された。しかし、それは職務遂行能力の限定性に基づくものであり、限られた役割における学生スタッフの主体性や自主性は、むしろ尊重されていた。
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