2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハウプトシューレの廃止に伴うドイツ教育評価制度の変容
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22730645
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Research Institution | Tokuyama University |
Principal Investigator |
卜部 匡司 徳山大学, 経済学部, 准教授 (30452600)
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Keywords | ハウプトシューレ / ドイツの教育 / 教育評価 / 教育制度改革 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハウプトシューレ(基幹学校)の廃止とともにドイツにおいて教育評価制度がどのように変容しているのか、その変容過程を時系列的、実証的に解明することである。そのうち本年度は、文献資料の調査と収集した資料の検討(学校制度・教育評価制度の改革実態の解明)を行い、ラインラント・プファルツ州の事例を現地で調査した。そして、ドイツの全体的な改革動向について明らかにし、研究成果の中間報告を行った。 本年度において解明されたことは、次の通りである。 まず新制実科学校は、従来の実科学校と基幹学校を制度的に統合したものであるとされているが、実際の調査から、これらはむしろ従来は別の場所にあった二種類の学校をひとつの場所に組み入れただけであり、従来の二つの制度はそのまま存続していることになるのではないかということが判明した。ただし、この制度は2009年秋の新学期から始まったものであるため、この制度がラインラント・プファルツ州にどう定着していくのか、それに伴い教育評価制度や資格付与制度がどう変化していくのか、今後の経過に注目する必要がある。 次に、従来の三分岐型から二分岐型の学校制度に向けた改革動向に注目しながらドイツ連邦各州の状況を概観すると、現行のドイツ中等教育制度は大きく五つのタイプに分類できることがわかった。また三分岐から二分岐へ学校制度を変革しようとする一方で、ノルトライン・ウェストファーレン州を除けば、すべての州において従来の三種類の資格付与制度をそのまま保持していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に引き続き、文献資料の調査と収集した資料の検討(学校制度・教育評価制度の改革実態の解明)を行い、さらにラインラント・プファルツ州の事例を現地で調査したが、ドイツの制度改革が予想よりも緩やかに進行しているため、他の州の動向も射程に入れることができ、改革のダイナミズムを丁寧に把握できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までは、ラインラント・プファルツ州の事例を中心に、ドイツの教育評価制度に関する改革動向について考察してきたが、ノルトライン・ウェストファーレン州において新たな動きが出現したため、今後はラインラント・プファルツ州のほか、ノルトライン・ウェストファーレン州の事例も含めて考察する。それらを踏まえて、最終的な機能分析を行いたい。
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Research Products
(3 results)