2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハウプトシューレの廃止に伴うドイツ教育評価制度の変容
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22730645
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
卜部 匡司 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (30452600)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ハウプトシューレ / ドイツの教育 / 教育評価 / 教育制度改革 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ハウプトシューレ(基幹学校)の廃止とともにドイツにおいて教育評価制度がどのように変容しているのか、その変容過程を時系列的、実証的に解明し、教育評価制度の機能の変化を明らかにすることである。そのうち本年度はラインラント・プファルツ州の事例を中心に、これまで収集した文献資料や現地調査のデータを踏まえながら、ドイツにおける教育評価制度の機能がどのように変化しようとしているのかについて分析を行った。 2009年秋の新学期からラインラント・プファルツ州で始まった新制実科学校は、従来の基幹学校を廃止し、それを実科学校と統合したものである。しかし、この学校における教育評価制度を分析すると、それはこれまで別の場所にあった二種類の学校をひとつの場所に組み入れただけであり、従来の二つの学校制度はそのまま存続しているように見える。他方、ドイツの他州においても三分岐型から二分岐型の学校制度に向けた改革が進められているが、学校制度は統合されても資格付与については従来の三分岐型制度をそのまま保持せざるを得ない状況にあることがわかった。 こうした現象を機能分析の枠組みをもとに解釈しようとすると、学校制度の統合に資格付与制度の統合が追いつけないのは、従来の基幹学校と実科学校の修了資格がそう簡単に統合されないことを意味する。すなわち、学業成績を証明することで生徒の選抜配分に寄与する「実科学校修了資格(前期中等教育修了資格)」(選抜配分機能)と、就学義務の履行を証明により生徒を社会(就学)へ包摂する「基幹学校修了資格(就職資格)」(包摂機能)は、どちらかの機能に一元化できないということである。 ただし、この制度改革は数年前から始まったものであるため、この改革がドイツ各州にどう定着していくのか、それに伴い教育評価制度や資格付与制度がどう変化していくのか、今後の経過に注目していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)