2011 Fiscal Year Annual Research Report
視線計測による保育者の「見守り」の可視化とその教育的利用
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22730646
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Research Institution | Jin-ai Women’s College |
Principal Investigator |
乙部 貴幸 仁愛女子短期大学, 幼児教育学科, 准教授 (70513844)
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Keywords | 視線 / 定量化 / 保育者 / 養成 |
Research Abstract |
平成22年度に学生と現職者の視線比較による保育者特有の視線の定量化を行い,現職者の方が視線の移動回数が多く,提示映像の停留点分布においてより全体をくまなく見渡し,かつ環境内の危険因子にも視線が向くような分布が示された. これを受けて,平成23年度では,得られたデータを視線移動の動画停留点分布のマップに変換し,最初の実習を控えた学生(1回生)への提示による効果を定量的に検討することを目的として研究を行った.その結果,実習前後の学生の視線移動パタンには大きな差異は認められなかった.おそらく,1回の提示と1回の実習期間では,明らかな違いを見出すには不足したものと思われる.そこで,より長期的な影響をみるため,幼稚園・保育所・施設での実習(合計約2.5ヶ月)を終え,保育者特有の視線の内容を繰り返し学習した保育者養成課程の2回生とそれ以外の課程の2回生の視線を比較したところ,学生と現職者の間の差ほど大きくはなかったものの,保育者養成課程の学生は視線移動回数がより多く,より広範囲に停留点が分布する傾向がみられた.以上により,保育者特有の視線を短期間で身につけることは学生にとって容易でないこと,しかし長期間にわたって訓練を行うことで次第にそれが身についていく可能性が高いことが示唆された.今後,こうした定量的データと,言語報告・実習評価などの定性的データとの間で比較検討を行うことで,より詳細な影響を調べることができるだろう. 刻一刻と状況が変化する保育現場では,保育者の視線は保育の質において非常に重要な要素である.今年度の成果は,従来主観的に語られてきた保育者の視線を科学的に検証する端緒の1つといえる.
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Research Products
(2 results)