2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦前秋田県における小学校教員無試験検定制度に関する歴史的研究
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22730649
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
釜田 史 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 講師 (60548387)
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Keywords | 小学校教員検定試験制度 / 師範学校 / 小学校教員講習科 / 准教員準備場 / 『教員受験生』 |
Research Abstract |
本年度(平成23年度)中に行った作業は、次の3点である。 1.小学校教員検定試験に関係する受験雑誌の収集と分析。小学校教員検定試験の受験者を対象とした受験雑誌として『教員受験生』(大明堂)がある。これは国立国会図書館等には所蔵されていない貴重な受験雑誌であり、唯一神戸大学附属図書館に所蔵が確認されている。まず、神戸大学附属図書館に所蔵されている分を複写する作業を実施し、それと並行して古本屋等で欠号を購入し補完した。全号を収集することはできていないが、内容の検討に入るための基礎的な作業として目次一覧を作成した。 2.無試験検定受験者が提出した各種書類の収集と整理。秋田県公文書館に所蔵されている無試験検定受験者が提出した各種書類(履歴簿、指導案、最終卒業学校の成績表など)について、前年度に引き続き本年度は大正期のものを収集した。これらを年齢、族籍、学歴、職歴などの項目で整理中である。来年度(平成24年度)は、引き続き昭和期を収集・整理の予定である。 3.「教育職員免許法」に関する史料の収集と整理。戦後に制定された「教育職員免許法」は、戦前の小学校教員検定試験制度を母体とする制度であり、戦後において無試験検定がどのように扱われたのか(存続か廃止か)という点で重要な検討課題の一つである。本年度実施した作業としては二つあり、一つは山口県立図書館の玖村文庫に所蔵されている史料の収集であり、いま一つは国立公文書館に所蔵されている史料の収集である。今後はこの研究課題にも重点を置きつつ、小学校教員検定試験(主に無試験検定)が果たした役割を戦前・戦後の連続性に留意し研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画をほぼ遂行することができたからである。具体的には、入手することが困難である『教員受験生』(大明堂)という受験雑誌が若干ではあるが収集できたこと、目次一覧を作成する作業まで進めることができたことなどである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、秋田県だけではなく他の道府県を対象として研究を進め、共通性と差異を抽出することを考えている。小学校教員検定試験に関する研究は、ほとんど進められてこなかった研究課題であり、その理由の一つとして道府県レベルの史料収集が必要不可欠であることがあげられる。秋田県という限られた事例だけではなく、他の道府県の事例も参照しつつ秋田県の特徴を看取したい。 また、戦前の小学校教員検定試験だけを研究対象にするのではなく、それが戦後の「教育職員免許法」へと変貌する過程も研究課題として追加し、小学校教員検定試験が果たした役割の全貌を解明したい。
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Research Products
(3 results)