2011 Fiscal Year Annual Research Report
地方における高等教育機会と進学行動に関する都市圏レベルの分析
Project/Area Number |
22730657
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
朴澤 泰男 一橋大学, 大学教育研究開発センター, 講師 (00511966)
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Keywords | 地方 / 高等教育機会 / 大学進学行動 / 都市圏 / 地域 |
Research Abstract |
本研究では1990年代以降の日本における「(三大都市圏以外の)地方」の高校生に焦点を当て、その大学・短大進学行動を、「都市圏」(複数市町村で構成される圏域。ほぼ通勤・通学圏に相当)レベルを単位に分析することを目的としている。研究方法は、進学率の計量分析と、ケーススタディの2つが柱である。平成23年度は、それぞれについて、次の成果が得られた。 計量分析については、都市圏単位めデータを用いた男女別大学・短大進学率の計量分析を継続するとともに、県単位のデータセットも整備し、男子の大学進学率の規定要因分析を行った。明らかになったことは以下の通りである。進学の便益を高める大卒労働需要の大きさを、同年コホートに対する大卒就職機会で県別に代理させ説明変数に用いた結果、大卒就職機会の多い県ほど地方在住者の県外大学進学率や、進学率全体が高いことがわかった。なお県外と県内の進学率は負の相関関係にあるため、収容率は進学率全体にはほとんど関連性がない。成果は研究論文にまとめ、査読付学術雑誌に投稿した。 ケーススタディでは、事例地域の地元関係者からの聞き取りによって、22年度に得られた知見を再度確認する結果を得た。すなわち、地方における大学等新増設による高等教育機会の拡大が意図するのは、当該県の進学率全体を向上させることよりもむしろ、若年(特に男子)層を地域に引き留めることだということである。地元経済界を中心に望まれているのは、あくまで県内進学の増加により、従来なら県外へ進学していた層を地元進学に切り替えさせることであった。ただし、その地方県が大都市圏から比較的近い位置にある場合、県外進学の抑制には必ずしも有効であるとは言えない。 以上を通して、地方において進学率を高める方策は、低進学率地域(東北、九州など)と、比較的進学率の高い地域(北関東、甲信越、中国、四国など)とでは異なるという示唆が得られた。
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Research Products
(1 results)