2011 Fiscal Year Annual Research Report
不安定社会におけるノンエリート女性の〈学校から仕事へ〉の移行に関する実証研究
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22730658
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉田 真衣 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (50532321)
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Keywords | 教育学 / ジェンダー / 移行 / 若年労働市場 |
Research Abstract |
本年度は、東京在住の若年ノンエリート女性を対象として行ったインタビュー調査のデータの再分析に必要な枠組みを作り出すために、女性労働に関わる先行研究の検討を行い、その到達点と課題を認識した。先行研究の中でも、書評を執筆した『女性と労働』は、女性労働研究の最新の成果がわかるものとして注目されている。報告者は、当書が現代の急激な労働環境の変化の中で女性がどのような問題に直面しているかについて、女性間の階層化のありようを丁寧に描き出しつつ明らかにしていることを評価する一方で、中卒・高卒女性の労働や生活の実態に改めて焦点化して研究を蓄積していくという課題があることを指摘した。この課題は報告者自身のものとしても引き取った。なお、本年度中には成果として発表できなかったが、性産業に従事する女性たちを対象とした先行研究の収集と検討も行った。 ノンエリート若年女性の労働と生活を研究的に明らかにするためには、近年ようやく研究されるようになっている若者ホームレスの問題をも射程に入れつつ、福祉や医療など複数の領域に渡った総合的な視点を獲得しなくてはならない。そこで、報告者が金沢市で行っているホームレス支援活動における若者のケースの検討を行い、学会にて発表した。発表においては、ライフステージの早期にホームレスとなることによるアイデンティティ形成の困難、就労規範の強さと就労の難しさといった若者固有の問題があることを明らかにした。 昨年度実施した、東海・北陸地方のセクシュアルマイノリティの若者を対象としたインタビュー調査に関わっては、金沢市で設立された当事者団体の活動に参与しながら、継続調査を行った。その過程において、新たな調査協力者を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東京在住の若年女性を対象としたインタビュー調査のデータの再分析をするにあたって、性産業への従事について正面から取り上げることを試みているが、プライバシー保護の観点からも研究課題の性質からも、慎重な議論が必要であり、計画していたよりも時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
東京在住の若年女性を対象としたインタビュー調査のデータの再分析をし、論文として発表する。北陸在住のセクシュアルマイノリティの若者を対象として実施したインタビュー調査についても、本年度中にデータの分析を行って発表する。
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Research Products
(2 results)