2010 Fiscal Year Annual Research Report
1945~70年の少年少女雑誌文化における異性愛主義の拡大に関する研究
Project/Area Number |
22730662
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今田 絵里香 京都大学, 文学研究科, 助教 (50536589)
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Keywords | ジェンダー / セクシュアリティ / エス(少女同士の親密な関係) / 異性愛 / 少女雑誌 |
Research Abstract |
平成22年度の研究目的は、戦後、少女雑誌文化に異性愛文化がどのような論理で導入されたのかを明らかにするとともに、その異性愛文化の導入が少女雑誌文化にどのような影響を与えたのかを明らかにすることとした。分析の方法として、第一に、異性愛文化導入の過程を把握するため、『少女の友』『女学生の友』の掲載小説を分析した。第二に、異性愛文化導入の論理とその影響を明らかにするために、読者と編集者の意向が示される『少女の友』の読者通信欄を分析した。結果は以下のとおりである。1945~1970年の間、戦前に創刊された『少女の友』と、戦後に創刊された『女学生の友』の掲載小説を分析すると、どちらも1955、56年から、異性愛関係を描写する小説が増加することが明らかになった。とりわけ『女学生の友』は増加の傾向が著しく、1970年にはほとんどの小説が異性愛関係を描写するものとなった。次に、同期間の『少女の友』通信欄を分析し、異性愛導入の論理とその影響について調べたところ、1952年まではボーイ・フレンドとエスの相手について語る投書が溢れていたが、1952年を過ぎる頃から、エスの相手について語る投書は見られなくなることがわかった。そして、通信欄では、エスはセンチメンタルなものとして意味づけられており、1952年以降、否定されていった。一方、異性愛は明朗なものとして意味づけられており、一貫して称揚されていた。また、『少女の友』の形式上の変化を見ると、1950年以降、明朗小説というジャンルが形成され、1954年以降、ストーリーマンガが掲載されるようになることがわかった。
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