2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ諸国におけるムスリム移民の教育と社会統合に関する研究
Project/Area Number |
22730679
|
Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
丸山 英樹 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 主任研究官 (10353377)
|
Keywords | 教育学 / 比較教育学 / 移民教育 / ノンフォーマル教育 / 社会関係資本 / ドイツ / トルコ / 人間形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イスラーム教徒(ムスリム)移民の受入社会に対する社会統合にはソーシャル・キャピタルの蓄積が影響を持つことを、学校内外の教育実践に着目し、移民の視点から明らかにすることである。本年の研究は昨年に引き続き、文献調査・理論研究と海外調査・成果発表からなった。 文献調査・理論研究では、社会統合に関連し、EUにおける複言語主義の背景に関して多言語・多文化の観点からも扱い、最新情報を担当者にインタビューする前に準備した。 海外調査では、トルコ及びドイツにおいて移民の背景を政策担当者及び移民集団へ聞き取りした。ベルリンにおいてはムスリム母親を主な対象としたノンフォーマル教育支援事業について、追跡調査を行い、これまでの研究蓄積とあわせ、学会において成果発表し、論文掲載に至った。 新たな知見としては、まず研究方法として教育のプロバイダー側にのみ焦点をあてた制度研究では移民の教育研究においては不十分であることから、より学習者からの視点を伴う方法が求められた。次に、学習者を中心にした場合、様々な経験が教育・学習効果を持つことから、それを評価するための枠組みを用いる必要性がある点が挙げられた。最後に、行政と移民集団の間では、移民が主体的に関与できる中間組織の存在が重要であることが分かった。 今後はエンパワーされた女性の家族(特に男性移民)についての影響を捉えていく必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部、本年度の予算3割減により海外調査に影響が出たが、他に問題ない。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度にあたり、研究成果発表と追加的調査の計画である。
|