2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ諸国におけるムスリム移民の教育と社会統合に関する研究
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22730679
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
丸山 英樹 国立教育政策研究所, その他部局等, 総括研究官 (10353377)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 教育学 / 比較教育学 / 移民教育 / ノンフォーマル教育 / 社会関係資本 / ドイツ / トルコ / 人間形成 |
Research Abstract |
本研究による知見として、1)欧州におけるムスリム移民の統合を形式的統合と実質的統合の両側面から整理し、前者の整備は進んでいるが後者には更なる可能性があることが示唆された。宗教実践を重視する、特に社会的アクセスが限られているムスリム女性移民の場合、実質的統合が重要となる。2)受入社会において外部との接触を持つ学童や男性移民を一方の極とし、他方に外集団との接点が最も小さいムスリム女性を位置づけ、彼女たちを主な研究対象として、統合の幅を指摘することができた。これによって、統合には多数派と少数派の双方の歩み寄りが重要であることを示された。3)実質的統合を促進するのは、ノンフォーマル教育によって自信を持つようになった、それまでは制限を受け入れていたムスリム女性の学習者が、同様の課題を抱える女性から母語で支持されながらも、エンパワーされ、社会参加することであることが分かった。 文献調査・理論研究及び海外フィールド調査によって、これらの知見を得ることができたのは、既に研究代表者が欧州の移民教育、イスラーム教育、そして社会関係資本に関する研究蓄積の上に、本研究を展開できたためである。社会統合に関連し、EUにおける複言語主義の背景と実践事例、移民研究、エンパワメント研究のレビューを行い、それぞれ論文とした。移民研究レビューでは、他分野における研究蓄積を概観した後、教育研究としての課題について記した。特に、学際的アプローチが今日の動的なトランスナショナル状況に必要であることを指摘した。エンパワメント研究によって社会的弱者と位置づけられる中でもムスリム女性に対するアプローチを整理した。イスラーム教義および伝統的規範による教育ニーズと欧州受入社会における価値観との間にあって、いかに女性たちが外部からの圧力および周辺環境ならびに自らの意識の影響へ対応するかを3つの層で整理できた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)