2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730680
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and University Evaluation |
Principal Investigator |
濱中 義隆 独立行政法人大学評価・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (10321598)
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Keywords | 教育社会学 / 高等教育 / 進路選択 |
Research Abstract |
高等教育のユニバーサル化への移行期における進路選択上の変化を本研究では、「選抜」から「選択」への移行と捉え、高校生の進路「選択」を支える主観的プロセスの解明を目指す。とりわけ着目するのは、進学率の上昇によって量的規模が拡大している進学/非進学のマージナル層(一般的には、成績中下位者)の進路選択行動である。ユニバーサル化に伴い大学進学機会の相対的な希少性が失われることにより、進学/非進学の境界線は曖昧化し、高校生の将来の職業キャリアに対する展望、大学進学に要する費用や進学から得られる便益に対する主観的な意味付け、高校における進路指導におけるやりとり、家庭や友人関係の中での大学進学に対する意識の醸成など、進路形成における主観的プロセスが重要な意味を持つと考えられるからである。高等教育のユニバーサル段階においては、「学力」、「費用負担能力」といった進路選択を規定するコアな要因は、すべての生徒に対して一律に作用するのではなく、高校生の部分集団において増幅されたり、相殺されたりすることも想定される。コアな規定要因と主観的プロセスの交互作用を明らかにすることにより、ユニバーサル化時代における進路選択の構造モデルの構築をめざす。 平成23年度には、Perna(2006,2007)による「階層的大学進学選択モデル」に依拠し、そのわが国の高校生における進路選択への適応可能性について、これまでに実施した大規模調査ならびにインタビュー調査のデータを用いて検証した。すなわち、「学力」、「家計の費用負担能力」(および両者の交互作用)を説明変数とするコアな大学進学確率モデルを設定するとともに、「家族」(出身階層、親の職業的地位)、「学校・地域」(いわゆるトラッキング要因)、「高等教育システム」、「社会・経済・政策」(大学進学や費用負担に対する社会的規範・意識)を、それぞれ独自の説明変数として扱うのではなく、進路選択の「コンテクスト」とみなし、各コンテクストにおいてコア要因の影響力の変化を検討した。
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