2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期の同調と培養細胞の導入による体細胞分裂観察実験の改良
Project/Area Number |
22730684
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 史 群馬大学, 教育学部, 准教授 (30313018)
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Keywords | 中学校理科 / 体細胞分裂 / 教材開発 / 同調 / 培養細胞 |
Research Abstract |
中学校理科で行われる体細胞分裂の観察実験は、生徒全員が成功するのは難しいといわれている。今年度、実体把握のために群馬大学附属中学校の生徒に対して行ったアンケートでも、自分で作成した標本で分裂細胞を観察できた生徒は約45%に留まっていた。そこでこの実験をより確実なものにすることを目的として、2つのアプローチから研究を行った。まず、細胞周期を同調させることにより分裂細胞の割合を上げた試料を調整することを試みた。播種後2~3日のネギの種子やタマネギ塊茎を1~2mmのヒドロキシ尿素で一晩処理し、水洗いによって薬剤処理を解除して6~8時間後に回収した根では、根端分裂組織において約30%の割合で分裂像を観察することができた。この値は無処理の根の根端分裂組織で観察される分裂像の割合の2倍にあたり、この材料を用いることで生徒が分裂細胞を見つけやすくする効果が期待できる。また、附属中学校の教員との打ち合わせにより、この薬剤処理手順は簡便であり、中学校現場において導入可能であることが確認された。しかし、薬剤処理を行っても分裂像の増加が認められないことがあるなど結果が不安定であることがわかったため、次年度以降にその原因を探り、より確実な同調プロトコルを作成することにした。一方、細胞が大きく核や分裂中の染色体の観察が容易で、細胞周期の同調もしやすいタバコ培養細胞BY-2の教材化について検討し、分裂細胞の静止画像や動画の取得と配信の体制を整えた。また、染色体の分離を行う装置である紡錘体を観察することで体細胞分裂に対する理解が深まると考えられる。そこでBY-2細胞を材料として、紡錘体を構築している微小管を、金粒子標識抗体を用いて染色したところ、一般に学校現場で用いられている明視野の顕微鏡で観察可能な標本が作成可能であることがわかった。この標本の配布方法や授業での活用方法を現在検討中である。
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Research Products
(1 results)