2010 Fiscal Year Annual Research Report
数学的活動と数学の活用の原理となるH.フロイデンタールの数学教育論の解明
Project/Area Number |
22730686
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊藤 伸也 金沢大学, 学校教育系, 講師 (10570434)
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Keywords | 教育学 / 数学 / H.フロイデンタール / Hans Freudenthal / 数学的活動 / 数学観 / 数学教授論 / 教授原理 |
Research Abstract |
20世紀を代表する数学教育学者ハンス・フロイテンタール(Hans Freudenthal : 1905-1990)の前期数学教育論を体系的に再構成しその特質を明らかにするために、平成20年度は、フロイデンタールの前期数学教育論の代表的著作『教育的課題としての数学』(1973)を主たる手がかりとして、フロイデンタールの数学観と数学教授論との関連、とりわけ教授原理「追発明」との関連について明らかにすることを中心的な研究課題とした。そのために、フロイデンタールの直観主義の数学観、数学史と現代数学についての彼の見方に着目し、教授原理「追発明」や「数学化」概念などとの関連について考察した。 その結果、第1に、フロイデンタールの前期数学教育論において、直観主義の数学観とりわけ数学の人間的側面と活動的側面を特に強調する数学観、数学が役立つ活動として「現実の数学化」として歴史上始まったとする認識、古代から現代まで数学とその応用とが相互に密接に関連してきたとする認識、数学を自然界、社会的世界、精神界の現象を整理するための手段とみる見方などが確認された。第2に、教授原理「追発明」が、教授者の導きのもと学習過程の不連続なところを学習者が自己の活動を「反省」することで飛躍すること、そしてそれによって「現実の数学化」さらには「数学の数学化」という一連の「数学化」の活動を数学の教授・学習に実現することを要請するものであり、そうした数学観がこの教授原理「追発明」を支えていることなどが明らかになった。
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