2011 Fiscal Year Annual Research Report
数学科問題解決指導における問題の構成に関する実証的研究
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22730692
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
岩田 耕司 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90437541)
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Keywords | 科学教育 / 数学教育 / 問題解決 / 実践研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は,中等学校数学科における創造的・問題解決的な授業の具体を開発するとともに,問題理解の場面における教師の役割についてより詳細に検討することである。本年度は,昨年度に引き続き,現役の中学校,高等学校数学科教員への聞き取り調査や,種々の学力調査の分析を行った。また,その結果から,今年度は,特に中学校第2学年における証明の学習に焦点を当てて研究を進めることにした。主要な知見は以下の2点である。 1.平成20年度および平成21年度全国学力・学習状況調査の数学Aにおいて出題された,証明の意義に関する問題(数学A,大問8)を用いて,生徒の証明に対する認識を調べるための質問紙調査およびインタビュー調査を計画・実施した。その結果,被験者のうち,証明り学習に困難を感じる生徒の多くは,何のために証明をしているのか理解できていない生徒が多く,証明の対象が命題の全称性であることについての理解が不十分であることが示唆された。 2.現在,中学校で使用されている第2学年数学科教科書(平成17年検定,6社7種)を分析した結果,教科書で証明問題として扱われている問題の多くが,命題の全称性の保証を求めるタイプの問題であるのに対し,教科書では,証明の一つの目的が命題の全称性の保証であることについての明示的な記述はほとんどないことが分かった。それゆえ,証明の対象が全称性であることを理解できるようにするための一つの手立てとして,仮定を満たす複数の図をかき,それらに共通する性質を予想するなど,証明しようとする命題を生徒自身がつくる場面を仮説的に設定し,その効果を調べるための調査計画を立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度から23年度にかけては,問題理解の場面における教師の役割を検討するための基礎的な資料を集めることを目的として,主に教科書分析や文献解釈,質的・量的調査に取り組むこととしていた。その目的は概ね達成していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者との連絡を密にして,授業実践の計画を綿密に行い,調査や授業実践を滞りなく実施できるようにすることが重要と考える。
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