2012 Fiscal Year Annual Research Report
多元的な見方・考え方を育成する小・中・高一貫歴史カリキュラムの開発研究
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22730693
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 秀和 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50400122)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / 社会科教育 / 歴史教育 / 小・中・高一貫 / カリキュラム / アメリカ / 多元的な見方・考え方 |
Research Abstract |
多元的な見方・考え方を育成する小・中・高一貫歴史カリキュラムの開発に向けて,以下の研究活動を行った。 1.アメリカに事例を求めたカリキュラム論・授業論の分析。アメリカ各州の社会科のみならず,研究者や実践家たちがどのように小・中・高の歴史教育の段階性を捉えているのかについて,文献に基づく調査を行った。特に,NCSSの社会科カリキュラム・スタンダードがどのように解釈され,実践に具体化されているのかを考察した。 2.日本に事例を求めたカリキュラム論・授業論の分析。「社会科学教育としての社会科」「説明を方法原理とする社会科」の立場に立脚して,「知識の批判と更新」を促し,見方・考え方を修正・発展させるカリキュラムや授業のあり方を考察した。本年度は,特に,子どもの「なぜ」や常識に挑戦し,見方・考え方の成長を促す小学校段階の事例を検討した。 3.学習者としての子どもについての分析。日本の子どもの市民的態度について考察した。中学校段階の子どもが,民主主義や政府,市民等についてどのような意識を持っているのかを調べた。この分析は,社会科や歴史教育が育成している(あるいは育成していない)見方・考え方の傾向性を示唆するものであり,小・中・高のカリキュラムや授業の開発への手がかりとなる。 4.カリキュラムモデル開発の下準備。開発の方向性を明確にするために,学会や研究会の資料・文献を収集し,小・中・高の歴史教育実践に関する現状と課題を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,アメリカ各州の社会科カリキュラム・スタンダードを事例にして,多元的な見方・考え方を育成する小・中・高一貫の歴史カリキュラムを類型化しようと考えていたが,指標が定まりにくく,困難であった。研究者や実践家によるカリキュラム構想や授業計画,実践事例にまで視野を広げて考えようとしているが,現在のところ類型化の完成には至っていない。 ただし,日本の事例から分析を深めることができた点や,日本の子どもの実態について考察することができた点では,ある程度の成果があったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
類型化が難しいようであれば,現在までの研究成果をもとにして,先に小・中・高一貫の歴史カリキュラムや単元・授業のモデル開発に取り組みたい。開発研究を進める中で,多元的な見方・考え方を育成するための方略のパターンが見えてくる可能性があると考えている。なお,開発に際しては,各学校・学年段階の子どもの見方・考え方を想定し,それを拡大・深化させることができる実践のあり方を提案したい。
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