2011 Fiscal Year Annual Research Report
理科学習における進捗状況の把握と調整を促進する授業方略の開発
Project/Area Number |
22730697
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 寛之 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (30452832)
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Keywords | 理科学習 / 自己調整学習 / 科学概念の構築 / 学習の進捗状況 / 授業デザイン |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に実施した授業実践に関して理科学習における学習・教授論的な視点から再検討し,そこで見出された課題を克服すべく,理科学習における進捗状況の把握・調整を促進する授業方略の開発とその実践を試みた。 この具体的な実施内容を,次の1.~3.に示す。 1.昨年度実施した理科学習における進捗状況の把握を促す授業方略の再検討と課題の抽出 2.学習の進捗状況の把握と調整を促す理科授業方略の検討と、その活用による事例研究 3.上記2.の授業実践で得られたデータの分析と研究の総括 昨年度の授業実践事例の再検討により,授業時間毎での理科学習の進捗状況の把握と調整を子どもに促していくために,昨年度も使用した認識論的Veeの地図をふまえた学習シートの作成方法に改善を加えることとした。さらに,子ども自身が自らの学習を振り返る機会を創出するためにICT機器の活用し,子どもが前時までに作成した学習シートの提示から本時の展開を改めて議論する機会を,各授業の導入場面で設定し,中学校理科1分野「身の回りの物質」の単元の授業において事例研究に取り組んだ。 学習課題を遂行するために既習事項や観察・実験によって得られた情報の質に関する検討したことを自らの考えとして記述していくための支援の方略については,授業で用いた学習シートの記述内容の分析により,自分の考えを表出させる回数や量的な部分で更なる改善が必要であることも,本研究における課題として示された。 また,授業実践後に実施した質問紙調査を分析した結果,調査対象の9割弱の子どもが授業に取り組むにあたって前回までの学習を振り返る意味を見出すことができていたことと,調査対象の7割の子どもがICT機器を活用した他者による振り返りが自分の学習に役立つと,肯定的に学習を振り返る活動をとらえていることが明らかとなった。
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