2010 Fiscal Year Annual Research Report
100年間の児童の表現分析と作品資料のデジタルアーカイブ化に関する研究
Project/Area Number |
22730706
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
蜂谷 昌之 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (60510542)
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Keywords | 美術教育 / アーカイブ化 / データベース / 表現分析 / 卒業制作 / 教育史 / 児童作品 |
Research Abstract |
本研究は、富山県高岡市立博労小学校に一世紀以上に渡り残されてきた児童の図画、習字、作文を含む卒業作品に見られる表現を歴史的、教育学的検討を通して分析するとともに、作品資料のデジタルアーカイブ化ならびにデータベースの構築を行ない、学術研究の基礎資料としての活用を目指すものである。 平成22年度の研究概要であるが、4回の実地調査を行ない、同校に保管される児童作品の一部について、デジタルカメラによる記録撮影に着手した。これは、画像資料のデジタルアーカイブ化に繋がるものである。並行して、先行研究及び関連する文献の調査を進めた。特に、この児童作品群に関する報告が含まれる学校史や、その後の児童作品史、図画作品のテーマを概説した調査報告等を精査した。そのほか、文献及び聞き取り調査による児童の表現分析に関連して、教育思想や方法、地域情勢等の調査を行ない、一地方における学校教育文化の形成過程や教育内容の変遷について検討を始めたところである。 同校の卒業生作品には、太平洋戦争前後に欠落期が存在し、これまで詳しい検証はなされておらず、作品資料のデジタルアーカイブ化に関する研究上、検討すべき課題となっている。この空白は、戦時下特有の対応をせざるを得なかった当時を物語るものと捉えることができる。本年度、作品資料の表現分析や関連資料の収集、分析をもとに、その経緯や時代背景について報告した。これをふまえ、当時の卒業生や関係者から作品制作の背景となる当時の社会や学校、教育の様子について聞き取りを行ない、児童の表現分析とともに同校教育実践や社会事情等に関する調査を進めていく予定である。
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